40代の転職は20代、30代と比べると一番難しくなります。それはなぜでしょうか?”歳だから、、”それ以外にも理由があります。
私は40代3回目の転職時に、家族や周囲の人からは不安定さ、労力、高いリスクから猛反対を受ける中、他企業からの誘いもあり転職に傾きながら最終的には最もリスクの高い小さな会社を起業しました。
この記事では、40代3回目の転職時の悩みや解決策について、また転職ではなくなぜ起業したのか?について体験談をご紹介します。
1、40代転職が一番難しいワケ
40歳転職を考えた時、正直なところ”今更他社へ転職することへの不安感”が大きかったです。他社からスカウトの声も多い中、プレヤーとしてはまだまだやれる自信はありましたが、自分の市場価値、期待値は別でした。以下に実際の市場価値や期待値を6つにまとめます。
(1)年齢による固定観念があります
企業側には、年齢が上がるにつれて「柔軟性が低い」「新しいスキルを習得するのに時間がかかる」といった固定観念があります。確かに個人差はありますが40代以上の転職者は「若い世代に比べて新しい環境に適応しにくい」のは事実です 。
企業には長年培われてきた企業文化、仕事の進め方などがあります。それらに従って業務を進めなければ組織という大きな歯車は回りません。それができるだろうか?という不安が私には大きかったです。
(2)役職と給与のギャップと協調性
40代のキャリアの中で積み上げてきた経験とともに、役職や給与も上がっていることが一般的ですが、転職先では必ずしも同じ役職や給与を用意できるとは限りません。一部のスカウト以外の転職ではそのギャップを埋めるのが難しくなります。
私は30代転職時も幸運にもスカウトがありましたので、役職と給与の問題はありませんでしたが、スカウトしたので成果を出して当然!という環境の中で、成果を出し続けるために効率改善の要求が多く、強くなるにつれて組織との不調和を生み、空回りしました。結果、スカウトしてくれた上司の移動と共に弾き出され、今、転職を考えている苦い経験がありました。
(3)スキルは必ず陳腐化します
ITやデジタル技術の進化が速い業界では、40代になると最新の技術や知識に対応できていないケースが増えてきます。最新技術を習得している若手と比較され、スキルの陳腐化が障壁になり、プレーヤーでもマネージングでも同じように障壁になります。
私の職種はマーケティングやセールスでしたので経験が重視されることから”陳腐化”について強く感じたことはありませんが、マーケティング手法も時代により変化していますので、常にバージョンアップが必要でした。セールスにしても同じです。”足で稼ぐ”、”お客様の言うことは全て正しい”、”根性や粘り”、、そんな時代ではありません。またマネージングにおいて次世代のセールスマンを育成することは必須で、”世代による育成方法”は異なり苦労しました。
(4)企業のニーズとマッチしにくい
40代転職には、転職先企業のニーズにピッタリ合うことは少ないです。中堅〜ベテラン社員としての経験は豊富ですが、すでにそのポジションには生え抜きの人材で埋まっている場合が多いです。その結果、企業側は”経験が豊富で欲しい人材だが自社内で役割を果たせない”と判断されます。
転職先の企業文化やビジョン、業界の将来や問題点などしっかりと調べて、パズルのように自分がその中にハマるような自己PRと志望動機が必要です。
(5) リーダーシップへの過剰期待
40代になるとリーダーシップやマネジメント経験があることが求められます。しかし、リーダーシップやマネジメンは企業によって求めるものが違うので企業文化と合わない場合、期待が過剰に高くなり、採用するより若手の成長に期待した方がいいのではないか?と判断されます。
私は長年のサラリーマン生活の中で、企業が求めるリーダーシップとは?について意識してきました。以下の7つのリーダーシップ力を説明します。これだけの能力の具体性があればどんな企業でも欲しい人材になれますが、かなり難しいのが現実です。
⚫️部署内でビジョンを明確に提示できる
⚫️コミュニケーション力がある
⚫️問題解決能力を発揮できる
⚫️部下を育成できる
⚫️変革を推進する能力を持つ
⚫️倫理観や誠実さを持ち
⚫️どんなことにも柔軟に対応できる
(6)多くの転職回数は不安定要素になります
40代で複数回の転職をしている場合、「安定性に欠ける」と判断されます。企業は長期的に貢献してもらえる人材を求めており、転職回数が多いと、自社でも長続きしないのではないかと思われてしまいます。
転職はキャリアップにつながり、給与や役職の好条件を得る一つの方法ですが、そのターニングポイントが40代の転職で人生の集大成と考えた方が良いでしょう。
2、40代転職は人生の集大成、キャリアの頂点なのでしょうか?
”集大成、頂点”というと”ゴール”の意味が強くなりますが、私は少し違う認識を持っています。”40代はキャリアの頂点”とは今までの経験を棚卸して更に伸ばしていく大切な時期だと思います。40代までのキャリアをまとめると”経験の蓄積”、”人脈の広がり”、” リーダーシップ”、”安定感”の4つではないでしょうか?
今の業界で更に伸ばしていく人もいれば、今までのキャリアをもとに新しい分野に挑戦する人もいると思います。”50代で更に伸びる人”のような書籍が多いことからもキャリアの頂点かどうかは、本人がどのような目標を持ち、どのようにキャリアを構築しているかに大きく依存するものだと思います。
その中に20代、30代と大きく違うのが家族のことです。家族と仕事のバランスを取る能力があれば転職へ向けて背中を押せますが、逆の場合なかなか決定できません。私は30代の頃から家族と仕事のバランスが崩れ、40代でバツイチになってしまいました。今思えば家族を犠牲にして仕事をすることで自己満足していた自身に大きな反省をしています。
3、40代転職は自分のことだけではない
40代での転職は、キャリアとライフバランスを両立できるかどうかが大切です。”家庭とバランス”、”給与や安定性”、”健康管理”、”企業文化”、”柔軟な働き方”など多方面から検討することが必要です。ここでは特に”家庭とバランス”、”健康管理”について説明します。
独身者と既婚者の転職は責任が大きく違います。既婚者は子育てや介護、住宅ローンなどの経済的な責任が大きくなるので、仕事内容やキャリア目標など本人に関わることも大切ですが、給与と将来的な安定性は家族として大切なことなので家庭会議を開き話し合い十分な理解をしてもらいます。
また家族帯同ができない転職も多く、食生活や普段の生活スタイルが変わりストレスを溜める原因になります。私は長く海外勤務で単身赴任でした。私は知らない地域や外国で一人でいることに大きなプレッシャーは感じなかったので、何ともなかったのですが、”単身赴任されたお客様がある日突然出勤しなくなった”、”アルコール依存症”、”現地の食生活が合わず体調を壊した”などという相談もかなりありました。出張など短期間では何ともないことが長期間になると心身共に溜め込み徐々に調子を狂わしてくるものです。
私が孤独に強くなる方法として、孤独であることをポジティブに受け入れるためにいろんなことを試した結果が以下の5つの方法です。
(1)ポジティブな考え方
孤独を否定的、被害的に考えるのではなく、自然な人間の気持ちの一部として受け入れることが大切です。つまり誰でも孤独を感じることがあるので、一般的なことで必ずしも悪いものではないと理解しましょう。
私も一人になり考え悩んでしまう時は多々あります。そんな時今でも切り替える方法として”今、悩んで解決するものかどうか?”で解決しないものは明日考えるようにしました。大抵の場合、今悩んでも解決しないものばかりです。結果、明日になれば考え悩むことは忘れています。これがポジティブに考える第一歩だと思います。
(2)孤独な時間を有効活用する
孤独は成長のチャンスなんです。孤独な時間を使って、自己反省や知識の棚卸しを行い、自分自身の強みは何か?、弱みと向き合う時間を作ることができます。この時間を有意義に使うことで、自己理解が深まり強くなれます。
その方法が興味や趣味を見つけることです。”家でのんびりするとかドラマや映画を見ながら何となく過ごす”は興味や趣味ではありません。
(3)自分との対話を楽しむため興味や趣味を見つける
できることからやりたいことへ目を向け興味や趣味を見つけます。私は海外での孤独でしたがいろんなことを始めました。
例えばゴルフ、釣り、自動車、バイク、ホームページ/ブログの作成、旅行、スポーツジム、食べ飲み歩き、読書、プログラミングなどです。仕事からできるだけ離れ忘れさせてくれました。
(4)ソーシャルメディアから距離を取る
”デジタルデトックス”を心がけます。具体的には世間とは近付きソーシャルメディアから遠ざかることです。ソーシャルメディアは情報収集に便利ですが、反面、他人の生活を見ることで、自然と比較し自分が孤独だと感じやすくなります。一方、少なくても限られた人たちだけでもつながりを持ち、人や世間との距離感を狭めることでことで、”自分は一人ではない!”困った時には助け合う気持ちを持ちます。
孤独に強くなるには、必要なときに他人とつながり、助けを求める柔軟さを持つことだと思います。孤独を恐れずに受け入れつつも、社会的なつながりを保つバランスを取ることが大切です。
4、40代転職で起業を選んだ理由は4つ
2社からオファーがあり履歴書を送付し、面接してもらいましたが、どの企業も現在の実績から同業種での即戦力、即成果への期待感が強すぎて、抵抗感があり以下の4点に絞り転職か起業かを考えました。
(1)メリットを更に伸ばす努力
私は40代で3回目の転職を考えた時、キャリアとスキルが一番充実しているこの時期に、起業する資金や将来への不安などへのデメリットをメリットに変える努力より、メリットを更に伸ばす努力をしてみたいと思いました。
(2)収入について
収入は多ければ多いほど、、誰もが思うことですが、私は企業の管理職クラスの年収である800万円/年収を目指し小さな大企業をイメージし、小さな雪だるまを転がし徐々に大きくしていくことを考えました。
(3)セールススキルをコアとして
得意な業界に拘らず、セールススキルをコアとしてできることは何でも仲介する究極のブローカーを目指すことでいろんな業界の情報や知識を蓄え、業界の素人だから見える景色、課題から次のビジネスチャンスを探ることを考えました。
(4)既存の顧客よりこれからの新規顧客
2回目の転職時の体験から既存客の引き剥がし(以前の会社のお客様を転職先のお客様にする)の苦労や失敗経験、失敗することで既存客が強力な敵になってしまう恐ろしさを知っています。既存顧客に拘らず、しがらみの無い新規顧客を増やしていきたいと思いました。
5、まとめ
不安要素が多い
40代転職が一番難しい理由は、”年齢による固定観念”、”役職と給与のギャップ”、”スキルは必ず陳腐化”、”企業のニーズとマッチしにくい”、”リーダーシップへの過剰期待”、”多くの転職回数は不安定要素”です。
40代転職は自分のことだけではない
40代転職はキャリアの頂点とは”経験の蓄積”、”人脈の広がり”、” リーダーシップ”、”安定感”ですが、中で一番悩むことは”安定感=40代転職は自分のことだけではない=”家庭とバランス”、”健康管理””です。
孤独であること
”家庭とバランス”、”健康管理”には孤独に強くならなければいけません。具体的方法として、孤独であることをポジティブに受け入れます。
転職より起業を選んだ理由
40代転職で起業を選んだ理由は”メリットを更に伸ばす努力”、”収入について”、”セールスをコアとして”、”既存の顧客よりこれからの新規顧客”の4つです。