60歳で転職活動をする時に効果的なのも邪魔になるのも”プライド”です。過去の経験値は貴重な財産でプライドを持ち自身のPRポインとして強調しながら転職活動をすることは大切なことですが、同時に邪魔をするのもプライドです。ではどうしたら良いのでしょうか?
私も転職活動を始めた頃は、まだまだやれるのに、、!キャリアを活かす仕事がなかなか見つからない!、そんな気持ちで求人情報を見ていて30戦30敗からのスタートになりました。
この記事では、なぜ自尊心と60歳の新人意識を持つことが転職の秘訣なのか?そのワケについて5つのポイントをご紹介します。
1、できる仕事よりもやりたい仕事の方が転職に優位
(1)できる仕事
長年の経験に裏付けられたキャリアをもってすれば同じ業界で同じ職種(:できる仕事)であれば、即戦力として会社に貢献できると思いがちですが、60歳の転職者に望む企業からの需要は少し違います。
なぜなら現役時代の企業側の自分を思い出してください。企業はチームで業務にあたり属人性を避ける傾向が強く、また60歳で入社し65歳までの短い期間で転職者だけでできる仕事で出せる成果は限られています。どんなスーパービジネスマンでも20歳-30歳代で身に付いたスキルをベースに以降は経験値が加わった能力で業務にあたり、新しいことへの取り組みは若者世代が担い、ミドル、シニアは管理業務になっているはずです。
そんな社会通例なことがいざ自分のことになると、プレイングマネージャーで即戦力として働けます!と思い込みたくなる気持ちは私もそうだったようによくわかります。現在の能力は20歳-30年前に身についたスキルがベースであり、勘や経験値がプラスされただけです。現在の若者層とは考え方や取り組み方が違います。
企業側はその辺はよくわかっていて、即戦力としての募集もしませんし、60歳代の転職者を自社内の管理職や人材育成への配属は考えていません。私も人事担当の業務をしていた頃、シニア人材は直接の管理職ではなく次長や部長付きとして組織のラインからは少し外れた位置でサポート的な業務で力を発揮して頂いていたことを覚えています。
そんな背景から、60歳転職の職種は”できる仕事”ではなく今までやりたかったけどできなかった業界や職種(:やりたい仕事)のほうが、人材不足な現在において転職活動では優位で成功します。
(2)やりたい仕事
”やりたい仕事”とはどんなことでしょうか?一部の方々は勉強し直し難しい国家資格を受験したりする方もいらっしゃいますが、ほとんどの方は趣味や憧れなどの職業から選択すると近道になります。以下に私の趣味や興味を持っていることを棚卸した例を紹介します。
”棚卸し”は過去のスキルやキャリアをまとめるだけではなく自身を市場価値最大化する方法でもあります。詳しくは【シニア層転職成功の鍵!棚卸し】キャリアとスキルを市場価値最大化するをご覧ください。
●パソコンを自作
●専門的なプログラミングはできませんが、既存のソフトを使い一応のことはできます。
●20数年の中国生活で身についた中国語力と多少の英語力
●オートバイや車のドライブ
●株式投資
”趣味や興味のあること”ある上記5点に関係する職種を探してみると以下の選択肢になります。
●個人事業主
●サラリーマン
◯営業販売業務
◯中国語と英語力を活かし貿易業務
◯IT、ウェイブ制作会社
◯物流会社(ドライバー)
◯タクシー会社(ドライバー)
”できる仕事”ではどうしてもプライドが邪魔をし、若い世代との付き合い方に悩んでしまいます。また、自分の能力を現在の最新のレベルまでバージョンアップするのは大変な努力が必要ですが、”やりたい仕事”では興味や好奇心からいろんなことを習いたい!わからないことは質問したい!できないことができるようになった満足感!そんな新人の頃に戻ることができます。
過去の経験やキャリアは内に秘めておき仕事に役立ちそうな時に能力を発揮すればよく、気持ちの面でも余裕が生まれます。
”実るほど頭を垂れる稲穂かな”という有名な言葉があります。人間も偉くなればなるほど、謙虚な姿勢で人と接することが大切という意味ですが、60歳転職者には一番必要な心構えと考えています。
2、過去の経験は必要な時に活かせる余裕の気持ち
自分の持つ経験やキャリアは現在の業務においては課題解決のための”きっかけ”程度にしか役に立たず、かなり陳腐化し即実践に役立つものはほとんどないことを理解しましょう。非常に悲しいことですがこれが現実なんです。
過去の経験やキャリアは自分から話すものではなく、周りから求められた時に能力を出しててこそ貢献できる価値があるものです。
”できる仕事”で転職し自分の持つ能力を現在版にバージョンアップするのはかなりの努力が必要です。20-40歳代は若さでそれをカバーしていました。
経験やキャリア≠能力≠即実践を理解して役に立たないプライドを捨てポジティブな新人の頃に戻れる自尊心を適度に持つことで余裕の気持ちを持った転職活動ができます。
3、自尊心を適度に持てば新人になれる
60歳位になると、半分位の年齢の人に頭を下げて”敬語を使う、質問をする、指導を受ける”ことがどうしてもできない人が多いのも事実です。解ります!現役の頃は課長!部長!と呼ばれていましたから、その逆はなかなか難しいものです。この原因は対照が相手と比較しているプライドが邪魔をしているからです。私もプライドを強く持つと無理かもしれません。
そこで、、プライドを自尊心に変えましょう。自尊心とは対照が自分で前項にご紹介した”やりたい仕事”であれば、”知りたい、成長したい”気持ちが強くなり、そのためには誰かから教わることもまた楽しいものです。結果相手が誰であろうと敬語や接し方も自然にできるようになります。
シニア層転職市場の変化に対応する具体的な方法について、【最新!シニア層転職市場変化徹底解説】成功するためのアプローチとは?で詳しく説明していますのでご覧ください。
中国で44歳の時にサラリーマンを卒業し小さな会社を始めた時、それまでは大企業にいて役職で呼ばれ会社の信用で大きなビジネスができていたことを忘れ、起業後はお客様のほとんどは年下で”仕事を頂くためにはしようがない”そんな気持ちで接していました。最初はご祝儀仕事を頂けましたが半年もしない内にどん底に落ちたことがありました。
この時は大手企業での地位やキャリアで、億を超える売り上げを上げていた自信だけで起業しプライドの塊のような私でした。しかしご祝儀仕事が終わり、徐々に厳しい経営状態となり100歩下がり”仕事のため我慢して頭をさげる、敬語を使う”そんな気持ちや態度はあっという間に相手に伝わり、今までの経験や能力を使って事業を続けることができなくなりました。
スケジュールが埋まらないので暇な毎日で将来への恐怖感だけが増して、来週の生活費も心配する頃、異業種の仕事をもらいそれがその後の16年間の事業の中心になり自尊心というものを身を持って理解できました。
この仕事が利益に変われば生活が維持できる↓
わからないことは謙虚に頭を下げ誰かに聞けばよい↓
誰かに教えてもらうためにはプライドなんかどうでも良い↓
新人の頃を思い出そう”生活するために働く”これが私の自尊心↓
教えてもらった知恵や知識が自信に変わり↓
絶対利益を出す!という情熱に変わりました↓
4、自尊心を持てば60歳新人意識は自信と誇りと情熱を生む
60歳転職時期になり”できる仕事”ではなく”やりたい仕事”を選ぶことは、私にとって人生2度目の新人意識を持てて新たな自尊心みたいなものが芽生えてきました。現在の私の自尊心はより良い生活のために気力や体力は40歳代で興味のある仕事をしながら更に成長することで10年間で完結することです。
新人だからこそ遠慮なく謙虚にわからないことを聞き、教えてもらう耳を持てます。誰かと比較するのではなく、自信を付けるために知恵や知識を蓄え、誇りを持つために自分の価値は自分で認め、気力と体力を維持することで情熱を持つ!それが私の自尊心です。
5、自尊心は成長する原動力(自身の価値観)失敗例と反省
履歴書を書く時や面接の時に大切な自身の価値観(:自己PR)と志望動機について、自尊心をしっかり持てているか?は大切なポイントです。プライドと同様に強すぎると自己中心的になり周囲との協調性が欠けてしまうので”適度な自尊心”を持ち”やりたい仕事”ができる企業にアタックしましょう。”適度な自尊心”は自身が成長したいと思う原動力の現れなので、採用担当者には必ず伝わります。
私の悪い実例として、、”できる仕事”を選び某企業へ応募した際に、業界で主流になっている某方法について強く関心を持ち自分の中で”できる!してみたい!”意欲が強すぎ、私なりの提案書を作成し履歴書に同封したことがありました。結果、即直接面接まで進み雇用条件、勤務開始の話し合いがあり約1時間の面接をしたことがありました。私の中では”決まった!”という自信がありましたが、結果は不採用で30戦30敗になりました。
30戦30敗した時点で、転職活動を記録したノートを見返しながらなぜ1社も内定がもらえないのか?諦めや焦りなどがありかなり落ち込み”何が間違っているのか?”と不思議に思い始めました。60歳ではキャリアを活かした”できる仕事”の転職は無理!?、企業には即戦力は不要?、履歴書は企業を研究し企業が必要な人材を想定して作成し直しているのに企業が求める人材像はどんな?
不採用の理由などは聞いてはいませんが、”60歳新人”ではなく”まだまだできる、、”そんな自己主張、プライドが強すぎる印象を残してしまったのではないかと思います。
20数年間も中国に在住した経緯から自己主張の強い文化習慣が身についたまま転職活動をしてしまい、日本企業に必要な協調性部分で疑問があったのではないか?と思います。
6、まとめ
現在の経験やキャリアは20歳-40歳代で身に付いたものをベースに以降は経験値が加わった能力で、即戦力としては使えないし企業側も望んでいません。
”できる仕事”で転職活動をすると、”まだまだできる”というプライドが強すぎて協調性に欠けることをPRしてしまう結果になります。
”やりたい仕事”は自身の趣味や興味を持っていることから棚卸し、棚卸内容から職種を見つけることで、他人との比較ではなく自分の価値は自分で認め、気力と体力を維持することで情熱を持つことができます。
”やりたい仕事”は60歳で新人の気持ちを思い出させてくれ、遠慮なく謙虚にわからないことを聞き、教えてもらう耳を持て更に成長できる満足感も与えてくれます。