シニア層の転職を成功させるには、自分のキャリアとスキルを正しく把握するために棚卸しをし現在の市場価値と合致させることが大切です。でも”棚卸しってどうやればいいの?”という声、よく聞きます。この記事では、シニア層の転職者がキャリアやスキルを効率よく棚卸しし、それを転職活動に活かすための具体的な方法を説明します。簡単で効果的なやり方ですが転職活動を成功に導く”基礎作業”です。これを丁寧に行えば自信を持って転職市場に挑めます。この記事を読めば迷わず行動に移せます!
1、シニア層キャリアとスキル棚卸しは全体像を把握することが第一歩
キャリアやスキルの棚卸が必要なワケは【60歳定年退職】失敗しない再雇用、転職は自身の棚卸し必要なワケで詳しく説明しています。是非ご覧ください。
経歴を時系列にリスト化するとは?最初の職場から現在までの勤務年数、役職、担当業務、プロジェクトなどの記録や全職歴を書き出す現状把握です。
その中でキャリアやスキルに個人差が出るのが”主な業務内容と成果”ですので詳しく丁寧に記載しましょう。
(1)棚卸方法
先ずは以下のように時系列的に経歴を整理することでシニア層が積み重ねてきたキャリアがはっきりと分かります。経歴毎に特に主な業務と成果を記載します。
〇〇株式会社(2000年~2005年):営業部担当者
既存顧客の維持管理を中心にリピート受注の増加と新規顧客の開拓
営業目標を3年連続達成、年間売上20%向上
〇〇株式会社(2005年~2010年):営業部担当者→営業部主任
新規顧客開拓を中心にチーム管理として新人営業マン教育を行う
新規事業立ち上げに成功し、営業目標を5年連続達成、年間売上20%向上
〇〇株式会社(2010年~2016年):営業部主任→事業部課長
営業課目標の設定、部下の育成、クライアント管理
チームメンバーを5人から10人に増員し、売上目標を3年連続で達成、離職率10%削減
〇〇株式会社(2016年~2023年):営業部課長→事業部部長
チームマネジメント、営業戦略を立案し特に海外市場の開拓を行う
営業部の売上目標を3年連続で達成、離職率10%削減
(2)棚卸成果
キャリア全体の流れが明確になり、面接で”どんなキャリアを歩んできましたか?”、”今までの経歴の中で一番苦労したことはいつ?どんなことですか?”などの質問に対して、自分のキャリアの全体像が明確なので自信を持って簡潔に答えられます。
履歴書、職務経歴書に一貫性が生まれるように時系列に沿った経歴ストーリーはキャリアのレベルアップが明確に履歴書や職務経歴書に情報を具体的に盛り込めることで、採用担当者が見ても分かりやすく、一貫性があり好印象を与えます。これが基礎作業です。次に現在の市場価値に変えます。
2、シニア層キャリアとスキル棚卸しは成功体験を市場価値に変える
自分のスキルや成果を振り返り数値化するのが次の作業です。事前調査し応募した企業文化や業務に対応するために、過去の業務や成果をどう役立たせるか?を示せるようになれば、採用担当者は”自社で活躍できる即戦力”として評価でき転職者の市場価値が上がります。
(1)棚卸方法
営業職で売上を前年比20%向上させた
背景:競争の激しい市場で、価格、仕様、納期など顧客ニーズを再分析
行動:提案資料には自社製品を購入するメリット、競合他社との比較を記載し、訪問頻度を週1回から週2回に増加。
結果:前年比売上20%アップ。
コスト削減1000万円達成
背景:製造コストの増加が課題
行動:調達プロセスを見直し、複数サプライヤーを競合入札に切り替え
結果:年間1000万円のコスト削減を達成
(2)棚卸成果
自分の価値を明確に採用担当者に伝えられます。転職者は”即戦力としての期待値”、”面接や職務経歴書でのアピールが効果的にできる”、”他の候補者との差別化ができる”、”数字化することで信頼性を与えられる”、”キャリアの一貫性が際立たせる”、”給与やポジションなどの待遇面”など自身の市場価値に変えることができます。次に、私だけにある価値を見つけます。
3、シニア層キャリアとスキル棚卸しは自分ならではの価値を見つける
(1)棚卸方法
私は何が得意?
業務ごとに自分の得意な業務をリスト化します。例えば”問題解決”、”チーム管理”、”顧客対応”、”プレゼンテーション力”、”営業資料作成”など日常業務で得意分野を整理し記載します。”何でもできる!”ではなく得意なことに特化します。
他者からの評価を取り入れる
同僚や部下、上司、家族から”私の強みは何だと思いますか?”と直接聞いたり、ネットで無料/有料での性格、適正診断を受けたり、転職エージェントなどに登録したときに行われる適正診断などで現在の自身の評価を素直に受け入れましょう。
得意なスキルの具体例を作成
○営業での提案力→お客様の課題を常に注視し解決の提案を行うことで契約率が25%向上しました
○プロジェクトマネジメント→予算1億円のプロジェクトを担当し、予定より2カ月早く市場投入しました
○技術的専門知識→電気エンジニアとして30年間で5件の特許を取得しました
○教育・研修スキル→研修満足度を15%向上させたプログラムを制作しました
(2)棚卸成果
自分が自分の価値を理解できなければ相手はもっと理解できないものです。過去のキャリアやスキルを簡潔かつ実績ベースで示すことで、”自分にしかない強み”が明確になり、”他者との差別化ポイントを発見”できるので、自信を持って自己PRできるようになります。採用担当者は転職後の活躍がイメージしやすくなります。
”自分に足りないスキル”や”他社との差別化ができない”ことは、素直に現在の弱点として補完し弱みを強みに変える努力をします。
4、シニア層キャリアとスキル棚卸しは弱点を補完する
(1)棚卸方法
市場ニーズを調査
求人サイトで応募条件を確認したり、転職エージェントからの情報から現在市場で求められるスキル(例:DX、データ分析、プロジェクト管理など)を調べます。
自身のスキルとのギャップをリスト化
自分の持っているスキルと市場が求めるスキルを比較し不足しているスキルを明確にします。全ての弱点を克服するのは無理なため、特に重視されるスキルを優先します。例えば”基本的なExcel操作はできるが、ピボットテーブルや関数は未経験”なら、Excelのスキルを補います。
学ぶべきスキルを選定
学びやすさ、短期間で習得が可能、実践しながら更に深められる実用性あるスキルを優先し、短期間で習得できるスキルを選びます。例えば、”データ分析の基礎”、”CRMツールの使い方”、”Microsoft Excelの高度な機能、AWS認定資格”などです。
学習計画を立てます
オンライン学習プラットフォームやYouTubeで無料の講座も多いので、導入編、基礎編では十分な内容です。転職活動中の忙しさや転職後の慣れない職場でのストレス、疲労度を考えると、1~3カ月間を目安に完結するスキルを集中的に学習します。
ポートフォリオを作成
独学し得たスキルを実際に使い、成果を目に見える形として残します。例えば、身の回りの題材から実践した成果をまとめ、履歴書、職務経歴書、面接で活用できるように簡潔に作成することで、採用担当者は応募者の成長意欲を評価できます。
(2)棚卸成果
成長意欲として評価される
採用担当者は”常に学び続ける意欲と姿勢を持つ人材は、入社後に組織の変化に順応でき、スタッフや業務の進め方にも協調力がある”と評価します。
即戦力としてのポテンシャルを伝える
この人なら未経験の分野でも努力次第で短期間に成果を出せるのではないか?と思わせます。なぜなら”学ぶ姿勢と意欲”にその可能性があるとされます。
年齢に関する先入観を払拭する
学び続ける姿勢は、年齢に関係なく「自分の不足していることへの自己分析力と意欲的で前向きな探究心を持つ人材」という印象を与えます。
他の候補者との差別化ができる
過去の経験だけでなく、現在も自己成長に努めていることをアピールできれば、入社後の期待値が高くでき他者と大きく差別化できます。
長期的な貢献を期待される
”成長できる人材は、長期間にわたり組織に貢献できる”のではないか?とポジティブに受け取られます。
5、シニア層キャリアとスキル棚卸しは自己PR+面接の原稿作り
(1)棚卸方法
誰に見てもらうのかを明確にします
採用担当者とその企業が対象になります。採用担当者は”応募者の過去の経験が自社でどのように役立つか?”に重点を置き確認しますので、経歴とそれに基づく実績を明確に分かりやすく表現しましょう。
どんな情報を伝えたいのかを決めます
例えば、役職・期間: どのポジションでどのくらいの期間働いたか?
:営業部長(2010年~2020年)
:年間予算の管理”、”営業戦略の策定”、”チーム管理”
成果の数値化と実績の詳細
例えば、”売上前年比25%増”、”新規顧客20社を獲得”
実績の詳細(プロジェクト成果や成功例):成果をグラフやチャートで可視化して成果を示すと、インパクトが強まります。またあるプロジェクトの成果を得るまでのプロセスを簡潔に記載することで具体性が増します。
スキルのマッチング
事前調査内容に沿って、応募した企業で役立つスキルに焦点をあてます。応募先企業が求めているスキルや経験に特化した情報を提示することで、”このポジションのために作られたポートフォリオ”と感じさせることができます。求人要項に書かれているスキルや業務内容を分析し、それに合致する情報を強調します。
経験の深さを強調
専門分野や業務における継続的な貢献を記載します。”20年以上にわたる顧客管理の経験を持ち、リピーター率を40%向上”。続けることの難しさは誰でもわかってますので、深さを示す尺度として期間を表します。
(2)棚卸成果
自分の実績を明確に整理できる
ポートフォリオ作成の過程で、これまでの職務経歴や実績を再確認し、自分の強みや得意分野を明確化でき、プロジェクトの成功例や売上向上の具体的な数字を発見し、それを自己PRに活用できますので、履歴書や職務経歴書や面接で実績を自信を持ってアピールできます。
採用担当者に説得力を与える
即戦力であることを視覚的に伝えることで、採用担当者が短時間で理解できる資料を提供できます。例えば、売上推移を示すグラフや、プロジェクトの成果を時系列でまとめた図が評価され、面接で深掘りされた結果、採用担当者に”この人なら具体的な結果を出せる”と確信を与えます。
自己PRの幅が広がる
履歴書や職務経歴書では伝えきれない詳細なプロジェクトや成果を説明できます。例えば、営業実績のデータや、成功事例を具体的に載せたポートフォリオは業界経験を詳細にアピールできることで自己PRの幅、深さを強調でき”数字や具体例がしっかりしている”と信頼されます。
採用後の期待値が上がる(入社後の役割が明確化される)
採用担当者はポートフォリオで提示した成果を基に、入社後に担当すべき業務やプロジェクトを具体的に考えることができます。入社後に期待される役割が明確になり、スムーズに新しい環境に適応できることは大変効果的です。
応募先企業への適応度を示せる
応募先の要件や業界特性に合わせた資料を用意することで、”企業文化や業務内容を理解している”とアピールできます。自己PR+志望動機=企業文化や業務内容であれば”採用担当者はこの人なら自社で即実践で役に立つ”と具体的に想像してもらえます。
キャリアとスキルを市場価値最大化にするためにキャリアマップを作成してみては如何でしょうか?長いキャリアを整理でき相手への説得力が増加すること間違いありません。詳しくは【シニア転職成功者が実践】キャリアマップテンプレートで収入維持を実現をご覧ください。
6、シニア層キャリアとスキル棚卸しは相手を知ろう
採用担当者の悩みを知ろう
採用面接経験者の98.4%が悩み「あり」
面接の場では書類だけでは読み取れない、実際の性格的要素・業務スキル・職場適応力など様々な要素を、自社の人材基準や活躍イメージと照らし合わせながら本当の応募者の姿を探っていくことになります。
引用元:採用面接経験者の98.4%が悩み「あり」<日本の人事部>
面接での質問基準を知ろう
(1)評価基準の設定例
評価項目 | 評価内容 |
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職務経験 | 応募する職種に関連する職務経験の年数や内容を評価 |
スキル・知識 | 必要なスキルや知識を具体的にリストアップし、それぞれのレベルを評価 |
適応力 | 過去の職務経験における新しい環境への適応事例などを評価 |
コミュニケーション能力 | コミュニケーションの円滑さや、チームワークへの貢献度などを評価 |
健康状態 | 健康診断の結果や、運動習慣などを評価 |
マインドセット | 意欲やモチベーション、企業理念への共感度などを評価 |
キャリアプラン | 今後のキャリアプランや企業への貢献意欲などを面接で評価 |
(2)面接評価基準:面接の評価基準は以下の13種類の中から採用担当者が任意で選択します。
1、職務経験を具体的に掘り下げる(職務経験や実務能力) |
2、経験から得られたスキルや知識を評価する(職務経験や実務能力) |
3、課題解決能力を評価する(職務経験や実務能力) |
4、仕事に対する価値観を掘り下げる(モチベーション) |
5、成長意欲を評価する(モチベーション) |
6、組織への貢献意欲を評価する(モチベーション) |
7、過去の経験や具体的な(適応力) |
8、チャレンジ精神や柔軟性を評価する(適応力) |
9、傾聴力や共感力を評価する(コミュニケーション能力) |
10、非言語コミュニケーション能力を評価する(コミュニケーション能力) |
11、コミュニケーションツールを使いこなせるか(コミュニケーション能力) |
12、健康状態について率直に尋ねる(健康状態) |
13、仕事と健康面の両立について尋ねる(健康状態) |
7、シニア層キャリアとスキル棚卸しのまとめ
時系列で経歴を整理し、自分のキャリア全体を明確にします
成果を数値化して即戦力をアピールします
得意分野と強みを特定して、自信を持った自己PRを作成します
市場のニーズと比較し、スキルアップ計画を立てて弱点を補います
ポートフォリオを作成して、成果を具体的に伝える準備をします
シニア層のキャリア棚卸しは、自分の過去を再評価し、未来の可能性を広げるための第一歩です