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【未経験者職種No1】タクシー運転手の実情と人気なワケ

”検索サイトにシニア層転職先”と入力すると人気No1はタクシー運転手と表示され、必ず”未経験者大歓迎!”と表示されます。シニアになると心身的衰えが始まるし、未経験者なのになぜ人気があるのでしょうか?実際に務まるのでしょうか?

実はタクシー乗務は自分の体力や日々の予定に応じて自由に勤務でき、フルに勤務しても月のうち半分以上は勤務明け日+休日になり、同じシニア層の給料以上か2倍近くの給料が見込めます。

なぜなら、タクシー運転手は接客業であり運転には緊張感と運転技術が必要ですが、現役時代に社会経験がある人なら誰でもできる程度の接客業であり、無理をせず健康管理がしっかりとできれば誰でもできます。

私も未経験であり実際にタクシー乗務をしていますが、”運動不足解消、無理をしない売上目標、安全運転第一”の3つをしっかりと自己管理できれば、楽しく長く続けられる職業だと思って日々頑張っています。

ここでは、タクシー運転手の実情となぜ人気No1なのか現役運転手が体験したことを中心に説明します。最後に現在の会社を非難するものではなく、体験上から感じたことを独断で説明させて頂くこと予めご了承くださいませ。

目次

1、タクシー運転手は今後も人材不足が続き需要過多な6つのワケ

(1)2010~2021年で タクシー運転手は約40%減少、実働率も約20%減少

【未経験者職種No1】タクシー運転手の実情と人気なワケ:運転手減少

タクシー運転者数は2010年で約37万人でしたが、2021年で約24万人まで減少しさらに減少傾向です。その背景は大きく2つあり、10年前と比較して約70%のタクシー会社で”人手が減少した”と答えています。

背景1:コロナ禍のお客様の減少に伴い退職

2021年頃はコロナ禍では2010年の実稼働率:約81%から大きく減少し、約56%になりタクシー乗務では安定生活ができない理由で退職者が激増しました。

背景2:若年層が増加しないため高齢化進む

2020年では65~69歳が最大ボリューム層であったが、 2022年には70~74歳が最大ボリューム層になりました。タクシー業界では65歳を退職年齢にしていますが、本人の希望があれば会社によって72歳、75歳まで乗務できますが、高齢化が進む一方で若年層が増えません(関東地方だけで見ると64歳〜74歳が全体の48.8%に達し、全国平均では55.5%)。

(2)交通事故率からも高齢者の退職者増加は避けられない

タクシー・ハイヤーの走行台キロ当たりの交通事故率は普通乗用車の1.5倍以上 。
歩行者事故、自転車事故の交通事故率は、普通乗用車の2倍以上

業態別の交通事故第1当事者の年齢分布において タクシーは60歳以上の事故割合が圧倒的に大きく、70-74歳の年齢層が最多です。

引用元:タクシー運転手の現状とタクシーに関する事故データ

つまり60歳以上のタクシー運転手はいつ事故に巻き込まれるか不安な中で業務を続けるか?ある程度の年齢になったら退職するかの選択を迫られるワケですが、ほとんどのタクシー運転手は65歳定年後も頑張り乗務しています。ハイヤー・タクシーにおいて、重大事故を起こした運転手は 65歳以上が圧倒的に多く、 健康起因の事故も圧倒的に多い状態です。

(3)タクシー運転手は高齢者の移動手段としての需要が大きい

高齢者が増加することで、運転免許証を自主返納する人が多くなっています。しかし毎日の生活面では、買い物、病院通いなどへ出かける公共交通手段が減少しタクシーは大切な公共交通手段の一つです。

電車やバスは駅や停留所までしか移動できませんが、タクシーはDoor To Doorで目的地の最も近くまで運ぶことができますし、中長距離移動の時は3-4人で同乗することで一人当たりの交通費を抑えることができ”高額な乗り物”ではありません。

(4)福祉利用で増加している

各タクシー会社では”陣痛タクシー、介護タクシー”など福祉サービスにも力を入れていているので、運転手への需要が高まっています。

私もこのような福祉サービスに興味があり入社時に会社に確認すると、最低1年間の乗務実績、無事故無違反、研修に合格する必要があり、実際には入社後順調に乗務をこなし早くても3年目から福祉サービスに貢献できるものでした。

(5)インバウンド対応

空港到着ロビーでの付け待ちタクシーにおいて、国際線での付け待ちが可能なタクシーと国内線しか付け待ちできないタクシーに別れています。国際線は国内線に比べて中長距離移動が多いので運転者にとって売上増加の魅力がありますが、英語検定に合格する必要があります。

更に、観光貸切サービスにおいても、1年間の乗務実績と無事故無違反であり、”東京シティガイド検定”に合格する必要があります。

では実際に、無事故無違反で英語検定に合格し国際線付け待ちができる運転手、”東京シティガイド検定”に合格でき観光貸切運転手、にどれだけの方がなれるか?タクシー仲間内で名誉なエグゼクティブドライバーになるには長い道のりがあります。

私もインバウンド対応には興味がありました。英語力、中国語力には海外勤務が長かったので自信がありますので問題はないのですが、1年後であることと”東京シティガイド検定”を勉強しなければならないことに少々抵抗がありました。必要な知識で通常業務と比べて売上が見込めるかと思いましたが大差はなく、観光貸切サービスは拘束時間の割には微妙な内容でした。若い世代の方には今後のスキルアップのために需要はあると思いますが、シニア世代にとってはどうでしょうか?

(6)タクシーアプリなど利便性の向上

タクシーアプリで簡単に迎車(迎車料:400円)ができるようになったことで利用者が増加しています。現在人気あるアプリは5つ(GO、S.RIDE、DiDi、Uber Taxi、フルクル)以外にも多くあります。特に”GO”は、2024年10月時点で累計ダウンロード数が2,500万で最大で、次に”S.RIDE(エスライド)”は、2023年7月末時点で累計ダウンロード数が300万です。

実際にタクシー乗務をしているとお客様から以下のような声をよく聞きます。

デメリット


1:最近”空車”のタクシーが少なくなった
2:雨が降るとタクシーがいなくなってしまう

デメリット

1:アプリは高齢者でも慣れると使える
2:路上で手上げするより家の前まで迎車してくれるので便利
3:アプリ予約時に行き先まで設定できるので知らない場所でも便利
4:迎車料より便利さを優先します
5:アプリ迎車と路上手上げで早く来た方に乗ります
6:出張や旅行時は時間や荷物の多さからアプリを利用する
7:数日先の予約までできるので便利
8:アプリへの課金方法も自由に選べるので残金不足がない

2、タクシー運転手ならではの柔軟な働き方

タクシー運転手は、自分のライフスタイルや希望に合わせた柔軟な働き方ができるのが大きな特徴です。代表的な勤務スタイルは隔日勤務で、1日出勤して1日休むという働き方です。

1回の勤務時間は通常15時間~18時間で、その間で3時間程度の休憩や仮眠の時間を取りながら乗務します。これは過度な連続運転で過労運転を防止するためのものです。

タクシー会社によっては、パート社員として「週◎日、〇時~〇時までの乗務」など、働く日数や時間帯を固定する働き方や、昼日勤のみ、夜日勤のみといった希望に沿った働き方を選択できる会社もあります。給料形態が基本給なしで歩合給料なので、会社側は配車の手間はありますができるだけ運転手の要求を叶えることができます

3、タクシー運転手の給料と社会保険、年金、福利厚生

給料

タクシー運転手の給料は歩合制です。給料明細書には基本給○○,○○○円と記載していますが、これは歩合給料の中から便利上基本給に割り当てているだけで、乗務しなければ当然給料はゼロになり、保険、年金などの分がマイナスとなり逆に会社に支払わなければなりません。

社会保険、年金

正式雇用されれば年金、社会保険をかけ家族を扶養者に入れることができます。私の働いている会社では定年が65歳で72歳まではシルバードライバーとして乗務日数、乗務時間を少なくして継続乗務できます。

福利厚生

会社によって、労働組合があり何かあれば親切丁寧に対応してくれます。組合への加入は有料で任意ですが”安心して働く一つの保険”として加入することをお勧めします。

会社側スタッフは乗務以外の相談も対応してくれますが、”浅く広く”で何となく曖昧です。特に事故、病気、雇用などの相談はいつ起こるかわかりません。その時親身に相談に乗ってくれるのは組合です。

4、タクシー運転手に向いている人

転職サイトなどで、”タクシー運転手にはこんな人が向いている”と多くの掲載がありますが、ここでは現役運転手として5つを優先順位をつけて説明します。

No1:自己管理(業務と健康)ができる人

売上の低い日/多い日、天候の良い日/悪い日、週末や連休中、健康管理、、、など、乗務環境が全く同じものは年間数回程度しかなく毎回異なります。そんな中、連続運転時間管理、休憩時間、実運転時間(ハンドル時間)、イレギュラー時の連絡業務など当たり前のことを当たり前のようにできる自己管理力が大切です。

No2:明るく親しみやすい態度でコミュニケーションが取れる人

乗車中に人を乗せるという面では”接客業”といえます。タクシー運転手には前職が飲食店、販売員、営業職だった経験された方も多く、前職での接客スキルを車内で活かしています。マニュアルに沿ったコミュニケーションでも無愛想ではなく明るく親近感を持った態度が大切です。

No3:ストレス忍耐性のある人

カスタマーハラスメントという言葉が最近ニュースなどで見かけるようになりましたが、しかしそうでないお客様も多いのが現実です。”納得がいかない、説教気味、失礼な態度”などいろいろありますが、それらを全部飲み込んで次のお客様を気持ち良く迎えられるような忍耐力が大切です。

No4:気配りや配慮ができる人

交通マナーをしっかりと守り、安全運転が第一ですが、それ以外にお客様一人ひとりが心地よくタクシーの移動時間を楽しんでいただけるよう、お客様の様子(”ゆっくり休みたい”、”世間話をしたい人”、”観光地や人気の飲食店を知りたい人”)を観察し、お客様の希望に合った対応をすることで心地の良い移動時間になるでしょう。

No5:運転に対する高いモチベーションがある人

タクシー運転手は乗車時間に関係なく運転が好きであることは必須です。日常、ドライブで運転を楽しんでいることとは違い、仕事でも”運転を楽しめるモチベーション”が大切です。そうすることで長時間運転でも、高速運転でも、狭路進行でも、全部合わせてモチベーションを高くできます。

5、タクシー業界の現状と今後について

(1)タクシー業界の現状(需要増加と需要減少)

ドライバーの高齢化と人手不足: タクシー運転手需要拡大

タクシードライバーの平均年齢は58.3歳と高齢化が進んでおり、若年層の参入が少ないため、人手不足が深刻化しています。 運転手が減少したと答えた事業所数は約69.7%、タクシー会社1社あたりの従業員数は年々減少し70人/1社から見ると2013年:66人から2023年:52人へ減少しています。

高齢化について、No1:65歳〜69歳がボリューム層でNo2:70歳〜74歳、No3:64歳〜65歳です。地理が複雑で交通量の多い関東地方だけで見ると64歳〜74歳が全体の48.8%に達し、全国平均では55.5%に達しています。

引用元:タクシー業界、半数近くが「赤字」人手不足も深刻化10年間で「半減以上」が1割強

引用元:ニッセイ基礎研究所

ライドシェアの拡大: タクシー運転手の需要縮小

一般ドライバーが自家用車で有料送迎を行うライドシェアサービスが注目されています。海外ではすでに認知度が上がっていて、海外出張や旅行経験者は利用された方も多いと思いますが、日本でも規制が規模しい中、一部地域導入が始まっています。

ライドシェアの普及は、タクシー業界にとって”脅威”と”進化”の両面を持っています。タクシー業界は、サービスや技術の向上を図りながら、ライドシェアとの差別化や共存を模索することで、未来に向けた以下6つの新しい価値を提供していく必要があります。

1、競争の激化への対応

2、タクシー市場シェアの減少

3、タクシー運転手人材の流出

4、タクシーサービスの質の向上

5、規制の変化(緩和)

6、イノベーション(アプリの便利さ、自動運転など)


(2)タクシー業界の今後について

高齢者、インバウンドへの需要増加

高齢化社会の進行に伴い、免許返納者が増加し、通院や買い物などの日常的な移動手段としてタクシーの需要が高まり、 コロナ禍の規制緩和により、訪日外国人観光客が増加しています。観光地への送迎や案内など、タクシーの利用機会が増えます。

ライドシェアーは利用者からすると、選択肢が増えメリットも多いのですが、”安全運転の担保”、”快適な移動手段”、”アプリでしか呼べない”などのデメリットも多いです。例えば、規制緩和を進め、若年層が2種免許を取得すれば個人事業で一般タクシーと同じように開業できるように進めれば、若年層の運転手が増加するのではないでしょうか?


タクシー需要増加への対応策

若年層や多様な人材の採用、研修制度の充実などで運転手不足を解消する取り組みが求められます。

私が実際に経験した研修制度は一般企業では2000年頃までに行われていたような”ある型にはめてしまう”そんな座学中心で気持ちや根性論が多く、現在の若年層にはきっと大きな抵抗感があります。もっと実技中心にタクシー運転手になった未来へのワクワク感を与える研修内容への更新が必要です。

社内の人事、労務関係においても複雑で冷たさすら感じます。例えば傷病になった運転手に対しての心身ともにフォローアップ体制がなく、”どう?”と声をかけてくるのは担当者レベルだけで、管理者クラスになると”今日は何にしに来たの?”、中には顔を見ない、見て見ないフリをする管理職もいます。一方で違反や事故にあった運転手には厳しく指導、中には罵声も飛びます。これでは違反、事故、傷病にあったら終わり、、という不安感が大きくなります。

6、まとめ

タクシー運転手は今後も人材不足が続き需要過多ですので”頑張った分だけ収入を増やせる”最高の職業だと思います。

タクシー運転手は自己管理ができれば”自由な時間”が多く、柔軟な勤務体系や勤務日程を組むことができます。

タクシー運転手の給料と社会保険、年金、福利厚生は正社員として入社でき、心身ともに健康であれば定年後も継続して働くことができます。

タクシー運転手は自己管理+コミュニケーション力+ストレス発散忍耐力+運転が好き+気配り配慮ができる人に向いています。

タクシー会社の体質は一般企業とは20年以上も遅れている面を持っているのも事実ですが、勤務内容が乗務なので、自己管理でき”当たり前のことを当たり前に”にできる方であれば、日常業務には大きな影響はありません。

【未経験者職種No1】タクシー運転手の実情と人気なワケ:アイキャチ画像

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