「60歳を過ぎて、履歴書なんて久しぶり」「在宅ワークを始めたいけれど、どんなふうに書けばいいのか…」。そんなふうに、書類作成の第一歩で立ち止まっていませんか?定年退職後、または退職を控えた方にとって、再び仕事を探すというのは決して簡単なことではありません。特に在宅ワークとなると、履歴書や職務経歴書の書き方が従来の「会社員向け」とは異なる点も多く、不安になるのも当然です。
しかし、長年の社会人経験こそが最大の武器。書き方のポイントを押さえれば、60代でも“選ばれる履歴書”は十分に作れます。本記事では、履歴書の基本構成から、在宅ワーク向けにアピールする方法、面接に繋がる“伝え方の技”まで、シニア世代のあなたに寄り添いながら徹底解説していきます。
ーこの記事でわかることー
①在宅ワークで採用されやすい60代の履歴書の書き方
②スキルがなくてもアピールできる「経験」の表現方法
③採用担当者に伝わる応募書類の工夫とテクニック
1、60代履歴書書き方の基本:まず押さえるべき構成とマナー

履歴書は若年層・中高年層問わず、基本の構成は同じですが、60代という世代ならではの“魅せ方”と“注意点”があります。
とくに、在宅ワークを志望する場合は「書き手の人柄」や「信頼性」「継続力」が伝わるような書き方が重要です。
(1)フォーマット選びのポイント
JIS規格の履歴書や市販の一般的なフォーマットで問題ありません。ただし、在宅ワークやクラウドワーク系の仕事では、PDFでの提出が求められる場合も多いため、あらかじめ WordやGoogleドキュメントで作成できる形式 を選ぶと安心です。
>📌 ワンポイントアドバイス
「在宅ワーク希望」と記載しても、企業からの印象が悪くなることはありません。むしろ「自宅で安定して働ける環境」があることは、シニア層の強みです。
(2)手書き?パソコン作成?今どきはどちらが正解か
現在は パソコンでの作成が主流 です。理由は以下の通り:
- 誤字脱字のリスクを減らせる
- 修正や保存が容易で、再提出のときにも対応しやすい
- 印象としても「パソコンが扱える」という点をアピールできる
※ただし、応募先の指定がある場合(「手書きで」と書かれている場合)はそのルールに従いましょう。
(3)証明写真は「清潔感」第一主義
証明写真に写る「見た目」は、意外と大切です。シニア層だからといって遠慮せず、「明るい表情」「姿勢が正しい」ことが大切です。白髪も無理に染める必要はありませんが、以下の点を押さえると安心です。
- 服装は白シャツやジャケットなど、清潔感のある装い
- 背景は無地(ブルーや白)で、明るさに配慮
- 撮影前に、眉や髪型を整えておくと印象がアップ
>📌 ワンポイントアドバイス
在宅ワークとはいえ、初対面の印象は履歴書の写真から始まっています。
(4)学歴・職歴は「すべて」ではなく「絞る」
60代になると、職歴が非常に長くなる方も多いでしょう。しかし、すべてを書く必要はありません。むしろ、50代以降の経験や、応募先に関連しそうな職歴だけに絞って書くことがポイントです。
悪い事例 | 良い事例 |
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1975年 ○○中学校卒業/1978年 ○○高校卒業/1980年 ○○短期大学卒業/1981年 ○○株式会社入社/以降すべて記載 → 古すぎる情報や短期間の職歴まで記載されており、読み手が“今の応募に関係ある情報”を見つけにくい。 | 2003年〜2022年 ○○株式会社 経理部 勤務(在籍19年) 小口現金管理、請求書処理、年末調整業務を担当。 → 年数+部門名+業務内容の簡潔なセット。即戦力や実務経験が伝わる。 |
1982年 ○○株式会社入社/以降部署異動・昇格・職務内容を細かく全て列記 → 読み手にとっては冗長。職務経歴書レベルの情報量を履歴書に詰め込みすぎている。 | 2005年〜2023年 ○○株式会社 総務部(在籍18年) 備品管理・契約文書作成・社内問い合わせ対応など幅広く従事。 → 応募職種に近い実務経験にフォーカスしており、アピール度が高い。 |
○○電機、○○産業、○○開発、○○物流など計6社の転職歴をすべて列挙(年数不記載) → 転職回数だけが目立ち、安定感や信頼性を損なって見える。年数の記載がないと印象が悪くなる。 | 2010年〜2023年 ○○協同組合(事務担当) パートから正社員登用を経て、在籍13年間。日々の勤怠入力や来客対応など地道な業務を継続。 → 正社員化の流れ=評価された証。“継続力”が伝わる。 |
>📌 ワンポイントアドバイス
大切なのは「過去の職歴の量」ではなく、「どんな強みを活かせるか」が伝わること。
⚫︎学歴は高校卒業以降に絞るのが基本(中学以前は不要)
⚫︎職歴は「応募先に関連する仕事」または「10〜20年以内」のものに絞る
⚫︎異動歴や部署変遷は職務経歴書で補完すればOK
(5)自己PR・志望動機欄の“書き方”が合否を分ける
シニア層が最も気をつけたいのが、自己PRと志望動機の表現です。これまでのキャリアを伝えるだけではなく、「これからどんな働き方をしたいか」を言葉にする必要があります。
「自分は何ができるか」「何を大切に働きたいか」を明確にして、未来志向で語ることがカギです。
悪い事例 | 良い事例 |
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「年金だけでは不安なので在宅ワークを希望します」 → 生活の事情は伝わっても、“仕事への意欲”や“能力”が見えてこない。 | 「長年の事務職経験で培った正確さと責任感を活かし、在宅でも安定して作業ができる自信がありますので在宅ワークを希望します」 → 過去の経験 × 未来の貢献 がセットで明快。企業が求める“信頼感”が伝わる。 |
「時間に余裕ができたので、できる範囲で働きたいと思いました」 → 曖昧な姿勢が伝わり、“責任感”や“継続性”への信頼を得にくい。 | 「現在も毎朝のルーティンを維持しており、安定した生活リズムの中で集中して作業できる環境を整えています」 →シニア層が不利になりがちな“体力面・継続力”をポジティブに変換している。 |
「パソコンはあまり得意ではありませんが、頑張ります」 → 弱みを素直に伝えすぎており、ポジティブな印象に欠ける。努力の方向性も見えない。 | 「パソコンの基本操作を学び直しながら、丁寧な報告と正確な作業を習慣化しています。前職同様に、信頼される働き方を在宅でも目指します」 →“学ぶ姿勢”と“自己管理能力”のアピールがあり、企業にとって安心材料が多い。 |
(6)この章のポイントまとめ
1 | フォーマットはPDF対応可の形式にする |
2 | パソコン作成で誤字脱字リスクを防ぐ |
3 | 証明写真は“清潔感と笑顔”を大切に |
4 | 職歴は応募に関連した範囲に絞る |
5 | 志望動機は「前向きな姿勢」と「働く目的」を伝える |
「書類の段階で“年齢の不安”を払拭する」ことが可能になります。
シニア層の転職の履歴書の書き方のテンプレートや考え方について、【シニア履歴書】60歳定年退職だからこそ書けるテンプレートがあるで詳しく説明していますのでご覧ください。
2、60代在宅ワーク向け履歴書:求められる人物像とは?

在宅ワークを希望する60代が、履歴書でまず意識すべきこと、それは「即戦力よりも信頼される人かどうか」です。
企業が在宅ワーカーに求めるのは、派手なスキルではありません。むしろ、以下のような“人としての資質”が重視されます。
(1)企業が在宅ワーカーに求める3大要素
①指示を待たずに動ける「自律性」▼▼ | ▼▼事例1:「業務の優先順位を自分で整理し、報告前に確認作業を徹底しています」 |
在宅では誰も見ていない環境だからこそ、「言われたことだけをこなす」では不十分。求められるのは、“次にすべきことを自分で考えて動ける”姿勢です。 | 事例2:「分からない点は自分で調べた上で質問することを意識しています」 |
②継続して働ける「安定感」▼▼ | ▼▼事例1:「30年間、無遅刻無欠勤で勤務を続けてきました」 |
企業は、すぐに辞めてしまう人よりも、コツコツと誠実に続けてくれる人を採用したいと考えています。60代という年齢は、それだけで「健康面」「継続性」が気になる年齢でもありますが、逆に「生活が安定している」「通勤がないから体力負担が少ない」ことは強い武器です。 | 事例2:「退職後も朝型の生活リズムを保ち、毎日決まった時間に作業する習慣があります」 |
③信頼できる「責任感と報連相力」▼▼ | ▼▼事例1:「作業中も随時チャットやメールで進捗を共有するよう心がけています」 |
在宅ワークでは、小さなミスが“誰にも気づかれず”に進んでしまう危険性があります。だからこそ、企業は「報告・連絡・相談(報連相)」を怠らない“信頼できる人”を求めています。 | 事例2:「納期前には必ず一度、確認を入れるルールを自分で設けています」 |
(2)ITスキルよりも大切なもの
「Excelはできないし…」「Zoomも苦手だし…」と不安に思う方も多いでしょう。確かに最低限のITリテラシーは必要ですが、“やる気”や“学ぶ姿勢”を見せることのほうが、企業の心を動かします。
▼▼ 企業に安心感と信頼を与えるのです。 | 「苦手だけど努力している」姿勢が、▼▼事例1:「パソコン操作は基本レベルですが、現在オンライン講座でWord・Excelを学習中です」 |
企業の心を動かします。 | 事例2:「スマホ・メール操作には慣れており、LINEやチャットアプリも問題なく使用できます」 |
(3)「人柄」を伝えるために、履歴書に盛り込みたい言葉
下記のような言葉を、志望動機や自己PRの中に自然に取り入れることで、あなたの「安心感」がぐっと伝わりやすくなります。これらの表現は、在宅ワークにおいて最も求められる「信用・継続・誠実」のイメージと合致します。
- 「責任をもって仕事を遂行してきました」
- 「人の信頼を裏切らないことを大切にしています」
- 「報連相を欠かさないのが私の仕事の基本です」
- 「時間を守る、連絡を怠らない、を信条にしています」
(4)年齢を武器に変える
「60代は不利」と思い込むのはもったいないこと。履歴書では年齢そのものを“価値”として変換する意識を持ちましょう。ちょっとした書き換えをすると、相手への印象が変わります。
悪い事例:年齢への不安をにじませる表現 | 良い事例:年齢を活かす表現 |
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「もう60代なので、新しいことには不安がありますが頑張ります」 → “挑戦する姿勢”よりも“不安”が先に伝わり、マイナス印象。 | 「60代として積み重ねてきた責任感と安定した勤務姿勢を、在宅業務でも発揮したいと考えています」 → 年齢=信頼と継続力の象徴として活用しており好印象。 |
「年齢的にスピードは若い方にはかないませんが、丁寧さでカバーしたいと思います」 → 年齢=劣っている前提の言い回しはNG。比較や言い訳に聞こえてしまう。 | 「これまでの職場でも“安心して任せられる存在”と言っていただくことが多く、今後も誠実さを大切に働きたいです」 → 人柄と信頼性を年齢に結びつけてアピールしている。 |
「60代なので難しいかもしれませんが、できることを見つけていきたいです」 → 消極的・模索中の印象。企業は“即使える人材”を求めているため不利に。 | 「自宅に集中できる作業環境を整えており、年齢を重ねて得た落ち着きと丁寧な仕事で在宅ワークに貢献します」 → “落ち着き”や“丁寧さ”といった年齢ならではの強みが明確。 |
(5)この章のポイントまとめ
1 | 在宅ワークでは「スキル」より「信頼できる人柄」が重要 |
2 | 自律性・継続力・報連相の具体例を履歴書に入れる |
3 | ITスキルが不安でも、努力と習慣をアピールすれば十分 |
4 | 年齢を“価値”として伝える文章力が求められる |
5 | 誠実で丁寧な人こそ、企業が本当に欲しい在宅ワーカー像 |
3、経験を「強み」に変える履歴書の書き方:職歴・自己PR欄

「職歴は長いけれど、アピールできるスキルがない」、そう感じている60代の方は少なくありません。
しかし、本当にそうでしょうか?あなたが何十年も社会で積み上げてきた“経験”は、見せ方を工夫すれば、立派な「強み」になります。
キーワードは、「成果」「工夫」「貢献」。ただ“やってきたこと”を並べるのではなく、「どう工夫し、どう結果に結びつけたか」を言語化することが、採用担当者の心に響く履歴書のコツです。
(1)ありがちな“もったいない”職歴の書き方
悪い事例 | 良い事例 |
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「○○株式会社にて営業職を担当。定年まで勤務しました」 →これでは、何をしてきたのか、何が得意なのかがまったく伝わりません。 | 「○○株式会社 営業職(20年間) 得意先管理、新規開拓、クレーム対応など幅広く対応。 担当顧客からの紹介案件が増加し、3年連続でチームトップの売上を達成しました」 → 具体的な成果+行動がセットで伝わる好例。 |
「○○工場で作業をしていました」 → どんな作業をしていたのか、経験年数も業務範囲も曖昧。 | 「○○工場 製造ライン担当(15年) 作業効率の改善提案が採用され、月間生産量が10%向上。 安全衛生委員として新人教育にも従事しました」 → ルーチン業務の中での“貢献”を数字で可視化。 |
「○○株式会社の経理部に所属。日々の業務に取り組みました」 → どのような業務に携わったかが不明確で、強みが伝わらない。 | 「○○株式会社 経理部(18年間) 小口現金・伝票処理・年末調整まで幅広く担当。 帳票ミス削減のためにチェック体制を見直し、上長から信頼される存在に」 → 地味な業務でも“工夫”や“信頼”のエピソードを含めることで説得力が増す。 |
>📌 ワンポイントアドバイス
「どのような行動で、何を達成したか」をセットで書くことで、“再現性のある強み”として評価されやすくなります。
(2)経験を活かした「自己PR」の構築術
自己PR欄は、“どんな人か”を伝える重要な場所です。ポイントは、「実績+人柄+志望理由」を一文の中に盛り込むことです。
【自己PRのテンプレート】
① これまでの経験
② その中で得た強み・姿勢
③ それを今後どう活かしたいか(志望理由と結びつける)
事例1:(事務職経験)
「30年以上にわたり、総務・庶務・顧客対応に携わってきました。地道な業務でもミスなく丁寧にこなすことを大切にしてきた結果、社内外から“安心して任せられる”という声を多数いただきました。現在は在宅勤務にも対応できるようPCスキルのブラッシュアップに取り組んでおり、今後はその誠実さと正確さを活かして信頼される在宅ワーカーを目指しています。」
事例2:(製造・作業職経験)
「長年、工場勤務で品質管理やライン作業に従事してきました。集中力と体調管理を徹底し、無事故・無遅刻を継続。細かい確認作業にも自信があります。今後はその慎重さと継続力を活かし、丁寧な在宅作業に貢献していきたいと考えています。」
(3) “成果”がなくても“工夫”は書ける
「表彰されたこともないし、大きな成果もない」と思っていませんか?でも大丈夫。“日常業務の中の工夫”こそが、企業が知りたいポイントなのです。
評価される「小さな工夫」の事例:こうした「工夫の習慣」がある人こそ、在宅ワークに向いていると判断されます。
- 書類のミスを減らすために、自分なりのチェックリストを作成
- 電話応対で相手の名前を復唱することを心がけていた
- 伝票作成時、二重チェックを“習慣化”していた
(4)「長く勤めた」だけでは評価されない理由
60代の履歴書でやってしまいがちなのが、「勤続年数をアピールするだけ」の自己PR。
悪い事例 | 良い事例 |
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「30年以上、同じ会社で勤め続けました。安定して働いていたことが強みです」 → 年数に安心感はあるが、何をしてきたかがまったく伝わらない。:年数だけを強調 | 「30年間、同じ部署で顧客対応と書類業務を担当。応対履歴の整理法を工夫し、問い合わせ対応時間を平均20%短縮しました」 → 長さ+業務内容+成果がしっかり伝わる。 |
「40年間、1社で真面目に働きました。それが私の誇りです」 → 真面目さは伝わるが、職務内容や成果がまったく不明。:抽象的な言葉 | 「40年間の勤務の中で、リーダーとして新入社員の教育や現場改善にも取り組み、作業効率の見直し提案が採用されました」 → 長期勤務の“信頼性”と“行動力”をセットで伝えている。 |
「定年まで1度も転職せず働きました。勤続年数だけは自信があります」 → “だけ”という表現が自己評価を下げてしまう。:受け身な印象 | 「同じ企業で35年間勤務し、10年間は経理部の帳簿管理と決算補助を担当。特に毎年の年末調整作業は正確性を評価されていました」 → 在籍年数+業務内容+周囲からの評価という形で信頼感を醸成。 |
>📌 ワンポイントアドバイス
「年数」だけでは伝わらない。“その中で何をしてきたか”を書くことが大切です。
(5)職務経歴欄の構成ルール(60代向けフォーマット)
上記のの”悪い事例→良い事例”に意識することで、以下のような書き方が、見やすく・伝わる職歴となります。
ー職歴ー
●○○株式会社(1988年~2023年)
所属部署:総務部
業務内容:来客・電話対応、契約書類作成、データ入力、備品管理
実績・工夫:社内文書テンプレートを整備し、事務処理時間を平均15分短縮。新人教育マニュアルの作成により、教育時間の効率化にも貢献。
ー自己PRー
30年以上にわたり、責任あるポジションで正確な事務業務を行ってきました。変化への柔軟性と、何事もコツコツと継続できる点が私の強みです。現在は在宅ワークにも適応できるよう、ZoomやGoogleドキュメントの活用にも取り組んでいます。誠実で丁寧な仕事をモットーに、クライアントに信頼される存在でありたいと思っております。
(6)この章のポイントまとめ
1 | 職歴は「成果」「工夫」「姿勢」で“価値”に変換する |
2 | 自己PRは「経験+強み+未来の貢献」をセットで書く |
3 | 小さな改善や習慣も、企業にとっては貴重な情報 |
4 | 「年数」ではなく「中身」で勝負する履歴書にする |
5 | 実績がなくても“工夫”があれば、強みとして成立する |
4、60代履歴書書き方の落とし穴と回避策

せっかくの職歴や経験を活かした履歴書でも、「書き方」で損をしてしまっているケースが少なくありません。特にシニア世代の履歴書には、“ありがちな落とし穴”が潜んでいます。
ここでは、企業の採用担当が感じやすい「もったいない履歴書」の特徴と、それを防ぐ具体的な書き方を解説します。
(1)NGな理由と事例
①NG1:過去の肩書・役職ばかりを強調する
60代でありがちなのが、「元部長」「管理職歴〇年」などの肩書に頼った書き方。一見すごい経歴に見えますが、今応募している在宅ワークの内容に関係がなければ逆効果です。
悪い事例 | 良い事例 |
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「営業部部長として20名の部下をマネジメント。役員会議にも出席」 → 在宅ワークで求められるのは“実作業をこなす力”や“個人で仕事を完結できる力”です。 マネジメント経験は不要な場合も多いため、「現場感覚」を書いたほうが好印象です。 | 「営業部で得意先管理や契約更新、社内資料作成を担当し、月間20件以上の対応を安定してこなしていました。在宅でも同様の作業を問題なくこなせる体制を確保しています」 → 数字を交え、具体的な“作業力”と在宅での実現性を提示。 |
「総務部課長として人事制度の見直しや経営会議に携わってきました」 → 在宅ワークと直接関係しない上層業務。実務経験が見えない。 | 「総務課で契約文書作成や備品発注、社員対応などを担当し、正確な処理と報連相を重視して仕事に取り組んできました。現在も在宅で文書作成や報告書作成が可能な環境を整えています」 → 実務内容+現在の在宅環境をセットでアピール。 |
「製造現場の統括責任者として、作業工程全体を管理」 → 現場の実務内容に一切触れておらず、在宅業務との結びつきが弱い。 | 「製造現場で部材発注や工程チェック、納期管理など事務処理を兼任。正確性とスピードを重視し、現在も在宅でデータ入力や進捗報告に対応可能です」 → 現場経験の中から“デスクワークスキル”を抽出してアピール。 |
②NG2:文章が長すぎて冗長になる
これもシニア層で多い失敗です。「丁寧に書こう」という思いが強すぎて、文章が回りくどく、読むのがつらくなる履歴書に。
悪い事例 | 良い事例 |
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「私はこれまで、さまざまな経験を通じて、多くのことを学び、成長してきました。それは人として、また社会人として非常に重要なことであり、日々の積み重ねが大切だと感じています…」 → 抽象的すぎて“何をしてきたか”がわからない。 | 「営業事務として顧客管理、見積作成などを担当。社内の業務効率化にも取り組み、資料作成の時短化に貢献」 →「誰にでも読める言葉で、結論から先に」が鉄則です。 |
「在職中は総務や庶務、そして経理的な業務に関わることも多く、時には社内での調整役として部門間の連携を図ったり、備品管理においては発注ミスを防ぐためのリスト作成など、細かな部分にも気を配って対応してきました」 → 一文が長く、読みづらい。結局どこが強みなのか不明。 | 「総務部で勤怠管理・備品発注・来客応対を担当。発注ミスを防ぐリストを独自に作成し、効率化を実現」 → 業務+工夫がセット。一文一義で読みやすい。 |
「私は一つ一つの仕事を丁寧に取り組むことを常に意識し、どのような業務であっても責任感を持って対応してきました。そうした積み重ねが信頼につながると思いながら仕事をしていました」 → 抽象表現が続き、実績や具体的な業務が見えない。 | 「作業現場で安全管理と工程チェックを担当。異常値の早期発見によりトラブルを未然に防いだ実績あり」 → 経験の要点+信頼につながる行動が伝わる。 |
③NG3:志望動機が“自分都合”になっている
在宅ワークを志望する理由として、「時間が自由そう」「通勤がないから楽」という本音をそのまま書いてしまう人がいます。これは 企業からすると“受け身な人”に見えてしまうので、大きなマイナスです。
悪い事例 | 良い事例 |
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「年齢的にも体力に不安があるため、できれば自宅で楽に働ける仕事を希望しています」 → 楽をしたいという印象が強く、“仕事への責任感”が感じられない。 | 「在宅でも集中できる環境と時間を確保しており、これまでの事務経験と正確な作業を通じて、丁寧で安定した業務提供を心がけていきたいと考えています」 → 自身の環境・経験・提供価値が明確で、信頼感がある。 |
「通勤が苦手なので、自宅で働ける仕事を探しています」 → 応募動機が“自分の都合”のみで、企業にとってのメリットが見えない。 | 「通勤が不要な分、時間を有効に使いながら、集中力を保った作業が可能です。納期厳守・丁寧なコミュニケーションを大切にし、信頼される在宅パートナーを目指します」 → “通勤がない”ことをポジティブに転換し、企業にとっての利点に言い換えている。 |
「子育ても落ち着いたので、空いた時間でできる仕事があればと思い、応募しました」 → スキマ時間感覚が前面に出ており、継続性や意欲が弱く見える。 | 「長年の総務経験で培った報連相の習慣と段取り力を活かし、在宅でも業務進行をスムーズに進める一員として貢献したいと考えています」 → 経験の活用と“チームへの貢献”を意識した表現。 |
(2)避けるための3つのコツ【NG回避法】
①自己PR・志望動機は「未来志向」で書く
過去の肩書きや経歴ではなく、“今の自分がどう働き、どう貢献できるか”を伝えましょう。例えば「長年の事務経験で培った正確さを活かし、今後は在宅でも信頼される業務サポートを目指します」
②相手企業の“ニーズ”を意識する
在宅ワークにおける企業側の期待は次の通りです:
- 納期を守ること
- 報連相ができること
- 一人でも仕事を完結できること
これらをふまえて、「それが自分にできる理由」を履歴書に落とし込みましょう。例えば、「納期を守ること、誤字脱字のない提出を徹底しており、クライアントからの信頼を得ています。作業の進捗報告も定期的に行うよう心がけています」
③年齢を“経験値”として提示する
年齢をマイナスと捉えるのではなく、「信頼」「落ち着き」「安定感」の証拠として文章に反映させましょう。例えば「年齢を重ねたからこそ得た“判断力”や“慎重さ”が、在宅ワークでも活かせると確信しています」
(3)この章のポイントまとめ
1 | 「元○○」などの肩書き頼みは避け、実務経験を明記する |
2 | 長文より“結論ファースト”の端的な表現を意識する |
3 | 志望動機は“自分都合”でなく“企業視点”で語る |
4 | 自己PRは過去でなく「これからどう働きたいか」が主役 |
5 | 年齢をネガティブに扱わず、「信頼と安定の証」に変換する |
5、履歴書だけで差がつく60代在宅ワーク応募のテクニック

「年齢に自信がない」「スキルも特にない」そう感じている60代の方でも、履歴書の書き方ひとつで印象は大きく変わります。特に在宅ワークでは、面接前の“書類印象”が合否を決める最初のハードル。
ここでは、60代ならではの“信頼感”を伝え、書類通過率を上げるための具体的テクニックを紹介します。
(1)スキル欄は「実務レベル」で表現する
多くの60代が見落としがちなのが、「スキルはない」と思い込んで、空欄のままにしてしまうこと。しかし、企業は“プロレベル”を求めているわけではありません。むしろ「実務に耐える基本操作ができるか」が見たいのです。
記載例(初心者レベルでもOK):
- スマホ操作(LINE・カメラ・アプリ管理)
- メール送受信(Gmail/Yahoo!メール等)
- Wordでの簡単な文書作成
- Excelでの表作成・四則計算
- Zoom・Google Meetなどのビデオ通話の基本操作
>📌 ワンポイントアドバイス
「できないこと」より、「どこまでなら使えるか」を具体的に書くことで、“即戦力度”が伝わります。
(2)「希望稼働時間」と「働き方のスタイル」を明記する
在宅ワークでは、企業にとって「いつ稼働できるか」が非常に重要な判断材料になります。“曖昧な表現”ではなく、具体的な勤務イメージを伝えると、採用側の信頼感がアップします。
悪い事例 | 良い事例 |
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「できるだけ時間を確保し時間がある時にできれば対応します」 → スケジュールが不明瞭で、企業側は「いつ作業してくれるのか?」と不安になる。 | 「週3日、午前9時〜13時の間で安定して稼働可能です」 → 時間・日数が明確。継続的な作業がイメージできる。 |
「特に決まった時間はありませんが、仕事優先でスケジュールを組み対応したいです」 → 無責任に感じられ、“継続して任せることが難しい”印象を与える。 | 「月〜金のうち週4日、1日4時間の稼働が希望です。作業時間は午前を中心とし、急ぎの連絡には即時対応します」 → 稼働日+時間+対応姿勢が含まれており、信頼感がある。 |
「家事や隙間時間でできる範囲で作業します」 → 稼働時間が不定・不安定に感じられ、信頼性が低く評価されやすい。 | 「午前中に集中して作業できる環境が整っており、平日9時〜12時を基本稼働時間としています。納期厳守・報告連絡も徹底します」 → 生活リズムと働き方が具体化されていて、実務に安心感を与える内容。 |
(3)「現在の学び」や「前向きな姿勢」を盛り込む
スキルが不足していても、「学ぶ姿勢」は大きな武器(この人は伸びしろがある)と思ってもらえる可能性が高まります)です。今、何かを学んでいる最中であれば、ぜひ履歴書に記載してください。
悪い事例 | 良い事例 |
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「パソコンは苦手ですが、なんとか頑張ります」 → 苦手なことを前面に出すだけで、改善の努力や計画が見えず、不安要素だけが伝わってしまう。「いつかやる」系の未行動 | 「在宅ワーク初心者向けオンライン講座を受講中です(動画+課題提出あり)。基礎的なIT操作を実践しながら習得しています」 → 実際に行動している内容と学びの姿勢が明確。即成長が期待できる印象を与える。すでに始めている or 継続中である |
「これから勉強していくつもりです」 → “つもり”止まりで、実際に行動しているかどうかが不明。意欲も弱く感じられる。苦手を強調して終わる | 「PCスキル強化のため、毎日30分タイピング練習を継続中。現在はブラインドタッチを目指しています」 → 習慣化された努力と目標が具体的で、成長性が感じられる。苦手でも努力・改善姿勢を明記 |
「まだ何も始めていませんが、時間が作り学ぼうと思います」 → 実行力・行動力に欠ける印象で、評価にはつながらない。抽象的な意欲だけ | 「ZoomやGoogleドキュメントを使用できるよう、高年齢者向けパソコン講座に参加中です。自宅環境でも復習と実践を繰り返しています」 → 学習方法・ツール・取り組み方が具体的で、すぐに活かせるスキルが伝わる。学習内容・方法・頻度が具体的 |
(4)「生活リズム」「健康状態」で“安定感”を伝える
企業にとって、60代に最も求めるのは“安心して任せられるかどうか”。だからこそ、日常の安定感や健康維持の習慣をアピールすることが有効です。
悪い事例 | 良い事例 |
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「最近は夜型の生活が多く、朝は苦手ですが、頑張ります」 → 不規則な生活の印象を与え、安定感に欠けると受け取られる。体調の不安・曖昧な生活パターン | 「毎朝6時に起床し、午前中に集中して作業を行う生活リズムを維持しています。日々の健康管理を徹底し、無理のない作業時間で安定して勤務が可能です」 → 時間+健康管理+働き方の具体性で信頼を獲得。時間・習慣・健康への具体的な取り組みを明記。 |
「持病があるため、体調を見ながらできる範囲で働きたいです」 → 健康不安の印象が強く、企業側が業務を任せづらく感じてしまう。不規則な生活や弱気な姿勢 | 「退職後も早寝早起きを習慣とし、朝食・軽い運動・作業時間をルーティン化しています。継続的に集中力を保てる環境を整えています」 → 在宅ワークにおいて重要な“自己管理能力”が伝わる。自律的・前向きな生活スタイルで信頼感を演出。 |
「健康には気をつけているつもりですが、特に運動などはしていません」 → 曖昧でアピールにならず、「継続性のある働き方」の裏付けとして弱い。「気をつけているつもり」など抽象的 | 「健康維持のため毎日30分のウォーキングを継続し、生活リズムを整えています。持病もなく、体調を崩すことなく安定して働けることが強みです」 → シニア世代において“安心して任せられる”要素を的確に表現。実際にやっていること(運動・睡眠・食事)を具体化 |
>📌 ワンポイントアドバイス
採用担当者の不安を払拭する“+αの一言”が効果的です。
(5)全体を通して「丁寧・誠実・報連相の意識」をにじませる
スキルの高さより、丁寧さと連絡の正確さこそが企業の安心材料。文章の中でも、報告・連絡・相談(報連相)を大切にしている姿勢をさりげなく盛り込みましょう。
自己PR(総合)良い事例:
「週20時間程度の稼働が可能で、午前中に集中して作業を行うスタイルを確立しています。作業中は進捗確認の連絡を随時行い、納期の2日前には仕上がりの確認報告を入れるよう心がけています。ZoomやGoogleドキュメントも基本操作可能で、報告や共有作業も丁寧に行います」
(6)この章のポイントまとめ
1 | スキル欄には「できる範囲」を丁寧に明記しよう |
2 | 働ける時間・曜日・スタイルを具体的に提示する |
3 | 現在の学びを通じて“前向きな成長姿勢”を見せる |
4 | 健康管理・生活習慣の安定感も自己PR材料にできる |
5 | 丁寧な報連相の意識を、文中から伝えることが“信頼”を生む |
6、まとめ:60代履歴書書き方のポイント
基本構成は簡潔に。50代以降の職歴に絞る
スキルよりも継続力と責任感をアピール
自己PRは“未来志向”で、努力や習慣も加える
「肩書き」より「具体的な貢献内容」で勝負
在宅ワークに必要な“信頼性”を文章で表現
小さなスキルも「使える技術」として可視化する
【引用、参考元】
転職活動に使われる履歴書に関する調査詳細<ミライトーチ>
60代男性に関する調査。仕事の探し方と、求人を見つけた後の行動について<ミドルシニアマガジン>
令和6年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します<厚生労働省>