60歳を迎えこれまでのキャリアを活かしながら新たな仕事を模索している方も多いでしょう。そんな中、「営業職に挑戦してみたいが未経験でも大丈夫だろうか?」と不安を抱えている人もいるはずです。営業職は若手の仕事だと思われがちですが、実はシニア層には大きな強みがあります。長年の経験から培われた「人間関係の構築力」や「誠実さ」は、営業活動において非常に有利に働きます。むしろ、シニアだからこそできる営業スタイルがあり、それを活かすことで成功する可能性が高まるのです。本記事では、シニア層が営業職に転職する際の基礎知識を網羅し、営業活動のコツや必要なスキルについて詳しく解説します。マーケティングの視点も取り入れながら、どのように売上を伸ばしていくべきかをお伝えします。
1、60代で転職!営業職に向いているシニア層の特徴

営業職に向いている人にはある共通点があります。それは、相手の立場になって考えられること、そして「信頼」を築く力があることです。営業に向いているシニア層の4つのタイプ。これらの特性を持つシニア層は、営業職に転職しても十分活躍できるでしょう。
(1)コミュニケーション能力が高い人:人と話すことが好きで相手の話に耳を傾けられる。
【事例】 以前、建築業界で現場監督をしていたAさんは、多くの職人とのやり取りを通じて、スムーズなコミュニケーション能力を培いました。そのスキルを活かし、営業職でも顧客の細かな要望を聞き取り、最適な提案ができるようになりました。
(2)長年の経験を活かせる人:過去の職務経験が役立つ業界で営業を行う。
【事例】製造業で長年品質管理に携わっていたBさんは、製品の強みや弱みを熟知していました。その知識を武器に、取引先への説得力のある営業ができるようになりました。
(3)誠実さを持って対応できる人:人との信頼関係を築くことが得意。
【事例】ホテルのフロント業務をしていたCさんは、お客様の要望に真摯に応える姿勢が評価され、営業職に転職後もお客様からの信頼を得てリピート契約を多く獲得しました。
(4)新しいことを学ぶ意欲がある人:ITツールやデジタルマーケティングに適応できる。
【事例】タクシードライバーとして働いていたDさんは、営業職転職後にSNSマーケティングの基礎を学び、オンライン集客に成功しました。
【体験談】営業経験を活かし、マーケティングを武器にした挑戦が続いています。私は精密機械メーカーの営業マンとして約20年勤め、そこで培った交渉力や市場分析力が私のキャリアの基礎となりました。1999年に中国へ渡り、2007年に起業を決意。教材販売、翻訳会社、ホームページ制作、日本語学校の運営、日本留学・就職支援など小さな大企業を目指し挑戦しました。当然ながら、順風満帆とはいかず、99回の失敗の先にある1回の成功程度のものです。しかし、マーケティング手法をコアスキルとして磨き続けたことが、現在も現役でいられる最大の要因です。市場の動向を的確に捉え柔軟に戦略を練る力は、どの事業にも通じる普遍的な強みとなりました。2023年に日本へ帰国し個人事業を開始。日本留学・就職支援を続ける傍ら、アフィリエイト、物販、デジタルテンプレート販売、YouTubeなど新たな挑戦を重ねています。61歳となった今も、時代の流れを読み取りながら次の一歩を考え続ける日々です。
2、60代で転職!営業職に向かないシニア層の特徴

営業職は適性が問われる仕事です。特に60代からの転職では、営業職が合わないと感じる人も少なくありません。ここでは、具体的な事例を交えながら、営業職に向かないシニア層の特徴を詳しく解説します。
(1)人と接することが苦手な人
営業職は人と話すことが中心の仕事です。人と会話することに苦手意識がある人にとっては、ストレスが大きくなる可能性があります。
【事例】長年、工場のライン作業をしていたAさんは、人と話す機会が少なく、営業職に転職後も顧客とのコミュニケーションがうまく取れずに苦労しました。
(2)相手の話を聞くより、自分の意見を押し付けてしまう人
営業職では、顧客の話をしっかり聞き、ニーズに合わせた提案をすることが重要です。自分の意見を押し付けがちな人は、顧客との関係を築くのが難しくなります。
【事例】以前、管理職として部下に指示を出す立場だったBさんは、営業職に転職後も「顧客に説明する」スタンスが抜けず、契約に結びつかないことが多くなりました。
(3)新しいことを学ぶのが苦手な人
営業職では、業界のトレンド、製品仕様や機能、新しいマーケティング手法を学び続ける必要があります。変化に対応するのが苦手な人は営業職で成功するのが難しくなります。
【事例】Cさんは、長年紙媒体の広告営業をしていましたが、デジタル広告の知識を学ぶことを避け、IT系の営業に転職後も成果を出せずに退職しました。
(4)体力的な負担を感じやすい人
営業職では、外回りや長時間の移動が求められることもあります。体力的に厳しいと感じる人にはハードな営業業務は向かない場合があります。
【事例】長年、デスクワークをしていたDさんは、営業職に転職後の外回り営業で体力的な負担を感じ業務を続けるのが困難になりました。
(5)失敗を引きずりやすい人
営業職では、断られることから始まるといわれるほど日常的なことです。気持ちを切り替えて次の商談に向かえる人が成功しやすいですが、失敗を引きずってしまう人には厳しい職種です。
【事例】 Eさんは営業職に転職後、契約が取れなかったことを何日も引きずってしまい、次の商談でも自信が持てなくなってしまいました。
営業職に向かない特徴をまとめると、以下のような点が挙げられます。もしこれらの特徴に当てはまると感じた場合は営業職ではなく、サポート業務や事務職などの他の職種を検討するのも一つの選択肢です。営業職で成功するためには、自分に合った環境を見極めることが重要です。
- 人と接することが苦手:会話に抵抗があると、営業活動が苦しくなる。
- 相手の話を聞くのが苦手:顧客のニーズに応えられず、契約が難しくなる。
- 新しい知識を学ぶのが苦手:業界の変化についていけず、成果が出にくい。
- 体力的な負担を感じやすい:外回り営業が難しくなる。
- 失敗を引きずりやすい:メンタルの切り替えができないと、営業活動に支障が出る。
3、60代で転職!営業職の基礎を学ぶ

営業活動は「マーケティング」と深く関係しています。営業とは、ただ商品を売るだけではなく、「相手のニーズに応える」ことが本質です。
以下では具体的な事例を交えながら営業職の基礎を学ぶ方法について解説します。
営業活動にはいろいろな進め方があります。ベテラン営業マンのちょっと面白い営業方法は【面白い営業方法】顧客がつい話したくなる!ベテラン営業マンが教える5選で詳しく説明していますのでご覧ください
(1)初心者が始める営業活動のステップ
①ターゲットを明確にする:どの顧客層を狙うのかを決める。
【事例】 金融業界で長年勤めていたHさんは、営業職に転職後も自身の知識を活かし、法人向け金融商品を扱う営業職に就きました。過去の人脈を活用しながらターゲットを明確にし効果的なアプローチを実施しました。
②商品・サービスの強みを理解する:何が他社と違うのかを明確にする。
【事例】 製造業出身のIさんは、過去に担当していた商品の技術的な知識が豊富でした。そのため、営業職に転職後も自社製品の強みを技術的な観点から説明し、競合との差別化に成功しました。
③営業トークを準備する:効果的なプレゼンテーションを用意する。
【事例】 以前、小売業で接客業務をしていたJさんは顧客対応の経験が豊富でした。その経験を活かし、営業トークを磨き、顧客のニーズに合わせた提案を行うことで受注率を向上させました。
④アフターフォローを大切にする:信頼関係を築くため商談後のフォローをしっかり行う。
【事例】 介護業界にいたKさんは、顧客との継続的な関係構築が得意でした。営業職でもそのスキルを活かし、定期的にフォローの電話やメールをすることでリピート契約を獲得しました。
(2)営業活動におけるマーケティング手法の活用

営業職ではマーケティングの知識が重要です。以下の手法を活用すれば、営業活動をより効果的に進められます。営業職においては、経験と学びを組み合わせることで成功へと近づきます。営業活動の基礎を押さえ、効果的な営業手法を身につけましょう。
①営業活動におけるマーケティングの重要性
営業は「商品やサービスを売る」活動ですが、現代では「顧客の課題を解決する」ことが求められています。そのため、営業活動の成功には以下の要素が不可欠です。以下を実現するために、マーケティングの手法を活用することが重要です。
- 顧客のニーズを把握する(市場調査)
- 適切なターゲットにアプローチする(ターゲティング)
- 効果的なコミュニケーションを行う(ブランディング・コンテンツ活用)
- 顧客との関係を構築し、継続的な取引につなげる(CRM戦略)
②営業活動に役立つマーケティング手法
マーケティングでは、「ペルソナ」と呼ばれる具体的な顧客像を設定することが重要です。営業活動でも、どのような顧客にアプローチすべきかを明確にすることで効率的な営業が可能になります。
ペルソナ作成の4つのポイント
- 年齢、性別、職業、収入
- 価値観やライフスタイル
- 抱えている課題やニーズ
- 商品・サービスを利用する理由
たとえば、BtoB営業なら「中小企業のIT担当者」「経営者」など具体的なターゲット像を設定し、それに応じたアプローチを考えます。
③STP分析(市場分析)
STP分析は市場を細分化し、自社の強みを生かせるターゲットを特定する手法です。
- S(セグメンテーション): 市場を細分化する(年齢・性別・業種・地域など)
- T(ターゲティング): 自社が狙うべき顧客層を選定する
- P(ポジショニング): 他社と差別化し、自社の価値を明確にする
営業活動では、自社の製品やサービスが「どの市場で、どんな価値を提供できるのか」を明確にすることで、競争力を高めることができます。
④データ分析(営業活動の最適化)
営業活動では、どのようなアプローチが効果的だったのかを把握し、改善を行うことが大切です。そのためには、データ分析を活用しましょう。
活用できる4つのデータ
- 顧客リスト: どの顧客が関心を持っているか
- 問い合わせ数: どの施策が成果を出しているか
- 成約率: どの営業手法が効果的か
- 顧客の行動履歴: どのコンテンツが読まれているか
CRM(顧客関係管理)ツールやマーケティングオートメーション(MA)ツールを活用すれば、データ分析をより効率的に行えます。
4、60代で転職!営業職で成功するために大切なこと5つ

営業職で成功するためには、経験とスキルを活かし、戦略的な行動が必要です。ここでは、具体的な事例を交えながら、60代の営業職が成功するためのポイント5つを解説します。
(1)顧客との信頼関係を築く
営業職では、信頼関係の構築が非常に重要です。シニア層の持つ「誠実さ」や「長年の経験」は、顧客からの信頼を得る強力な武器になります。
【事例】長年、地域のスーパーの店長を務めていたLさんは、営業職に転職後も地元のつながりを活かし、信頼をベースに顧客を増やしていきました。以前の顧客が「Lさんなら信頼できる」と言ってくれたことが、新しい職場でも大きな成功につながりました。
(2)ヒアリング力を高める
顧客のニーズを正確に把握するためには、適切なヒアリングが欠かせません。
【事例】以前、コールセンターでカスタマーサポートを担当していたMさんは、相手の話をじっくり聞くスキルを活かし、営業職でも顧客の悩みを深く理解。最適な提案をすることで、契約数を大幅に伸ばしました。
(3)継続的なフォローアップを行う
営業では終わりが始まりと言われます。一度の商談で終わらず、継続的に顧客と接点を持つことが重要です。
【事例】介護業界でケアマネージャーをしていたNさんは、顧客との継続的な関係構築が得意でした。営業職でも定期的な連絡や訪問を欠かさず行い、顧客との関係を強固にすることで、リピート契約を増やしました。
(4)デジタルツールを活用する
現代の営業では、デジタルツールを活用することで業務の効率化が図れます。
【事例】以前、事務職でエクセルやCRMを使いこなしていたOさんは、営業職に転職後もそのスキルを活かし、顧客情報をデータベース化。適切なタイミングでフォローアップを行い、契約率を向上させました。
(5)継続的な学習を心掛ける
営業手法やマーケティングの知識を学び続けることで、成果を上げることができます
【事例】Pさんは営業未経験でしたが、オンライン講座やセミナーを活用し、最新の営業手法を学びながら実践。学んだ知識を現場で活かし、短期間でトップ営業マンになりました。
60代の営業職で成功するためには、以下のポイントを押さえることが大切です。これらのポイントを押さえ、シニア層ならではの強みを活かしながら営業職で成功を目指しましょう。
- 信頼関係を構築する:誠実な対応と過去の経験を活かし、顧客の信頼を得る。
- ヒアリング力を高める:相手のニーズを正しく把握し、最適な提案を行う。
- 継続的なフォローアップ:定期的に連絡を取り、関係を維持する。
- デジタルツールを活用:CRMやSNSを活用し、営業活動を効率化する。
- 学び続ける姿勢を持つ:常に新しい情報を取り入れ、営業スキルを向上させる。
5、60代で転職!営業職に必要なスキル

営業職で成果を出すためには、特定のスキルを習得し活用することが重要です。ここでは、具体的な事例を交えながら60代の営業職に必要なスキルを詳しく解説します。
引用元:新規開拓営業の方法|初心者でも成果を出せる戦略はマーケティング手法
(1)コミュニケーション能力
営業職では、顧客とのスムーズなやり取りが不可欠です。話すことが得意でなくても適切な会話の進め方を学ぶことで結果を出すことができます。
【事例】以前、観光ガイドをしていたQさんは、営業職に転職後も観光業で培った「相手の話を引き出すスキル」を活かし、会話を弾ませることで契約率を向上させました。
(2)ヒアリング力
顧客のニーズを正確に理解するためには、的確なヒアリングが欠かせません。相手の意図を汲み取るスキルを持つことで、より適切な提案が可能になります。
【事例】元介護職員のRさんは、高齢者の声を丁寧に聞く姿勢が評価され、営業職でも顧客のニーズを深く掘り下げることで、競合との差別化を図ることができました。
(3)提案力
営業職では、顧客の要望に沿った魅力的な提案をすることが成功のカギとなります。
【事例】以前、小売業で接客を担当していたSさんは、顧客の好みを見極めながら商品を提案するスキルを持っていました。営業職でも「この商品がどのように役立つか」を具体的に伝え成約率を上げることに成功しました。
(4)デジタルツールの活用スキル
現代の営業では、ITツールを活用することで業務を効率化し、売上向上につなげることができます。
【事例】以前、総務でエクセルやCRM(顧客管理ツール)を活用していたTさんは、営業職に転職後もそのスキルを活かし、データを分析して営業戦略を立て、成約率を向上させました。
(5)ネットワーキング能力
人脈を広げる力は、営業職において非常に重要です。特に、シニア層の強みである「豊富な経験と人脈」を活かすことで新たなビジネスチャンスを掴むことができます。
【事例】元不動産業のUさんは、以前の顧客や取引先との関係を維持しながら新しい営業活動に取り組み紹介を通じて安定的に案件を獲得しました。
(6)継続的な学習意欲
営業の世界は日々変化しているため、新しいスキルや知識を学び続けることが大切です。
【事例】Vさんは未経験で営業職に転職しましたが、業界セミナーに積極的に参加し、トレンドを把握することで短期間で成果を上げることができました。
60代で営業職に転職し成功するためのまとめは、以下のスキルを意識的に磨くことが重要です。これらのスキルを磨くことで、シニア層ならではの強みを活かしながら営業職で成功を目指しましょう。
- コミュニケーション能力:相手とスムーズに意思疎通し、信頼関係を築く。
- ヒアリング力:顧客のニーズを深く理解し、最適な提案をする。
- 提案力:商品の魅力を的確に伝え、成約につなげる。
- デジタルツールの活用スキル:CRMやSNSを活用し、営業活動を効率化する。
- ネットワーキング能力:過去の人脈を活かし、新たなビジネスチャンスを生み出す。
- 継続的な学習意欲:新しい営業手法や業界動向を学び続ける。
6、60代で営業職に転職するためのまとめ
営業職はシニア層の強みを活かせる仕事です
コミュニケーション力と誠実さが成功のカギです
マーケティング視点を持つと営業がスムーズに進みます
向いていない場合は無理をせず、他の職種も検討します
営業スキルは学びながら磨いていくことができます
デジタルツールを活用し、効率的な営業を目指します