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【タクシー会社面接人間性重視】親切丁寧な対応にはワケがある

厳しい60代転職状況下でタクシー会社の面接は他業種と違い”親切丁寧”な対応でした。一般企業の面接を数社体験した経験から比較して何が違うか?考えてみました。

実はタクシー運転手はコロナ禍以降人材不足な状態であること、お客様一人平均の乗車時間が約10分間であること、タクシー乗務時間中は自己管理であることの3つが大きく関係しています。

なぜなら、人材不足な市場ですが誰でも良いというわけではなく、昔から言われるようにゴルフと車の運転はその人の人間性や性格が現れると言われます。真面目に勤務してくれて、運転が丁寧で無事故無違反、決められたお客様対応ができる人間性が重要視されます。

私はタクシー会社の面接の時に他の業界と同様に自己PRや志望動機をきちんと考えて臨みましたが、実際の面接内容は異なるものでした。

この記事では未経験者がタクシー運転手になるために経験した”なぜタクシー会社は人間性を重視するのか?”4つのワケについて体験談から説明致します。

目次

1、人間性と車の運転の関係について

【非常に親切丁寧な面接】タクシー会社、採用に人間性が重視なワケ:人間性と車の運転の関係

社会においては、車の運転は人間性を反映すると考えられます。特に以下の4点についての人間性と運転は大きな関係があり、車の運転は単なる移動手段や趣味ではなく、個々の人間性が反映する行動の一部とされています。

(1)礼儀とマナー

日本社会では特に礼儀やマナーが重視されていて、これが車の運転にも影響することがあります。たとえば、他の車や歩行者に道を譲る、ウインカーを早めに出すような行動は相手を思いやる気持ち、礼儀正しさを表します。一方で急な車線変更やクラクションを多用することは、攻撃的な性格や自己中心的な態度の現れです。

(2) 安全意識と集団意識

日本の交通教育では安全第一が基本であり、これが運転習慣にも反映されます。特に、交通ルールを守る意識が強く、スピード制限や信号の順守などが徹底されています。これは、社会全体の”和”の文化とも関係があり、”和”とは集団意識が強い日本人にとって、他者への配慮が運転行動にも表れることが一般的です 。

(3)運転スタイルの地域性

日本国内でも地域によって運転スタイルに違いがあります。都市部では混雑した道路での運転が多く、スムーズな交通の流れを重視するため、迅速かつ効率的な運転が大切です。一方で、地方ではのんびりとした運転が一般的です。これらの違いはその地域に住む人々の生活スタイルや性格にも影響されると考えられます 。

(4)技術の利用と運転行動

近年では、運転支援システムや自動運転技術が普及しつつあり、タクシーにも一部採用され人間の判断による運転から技術支援を受けた運転へと変化しています。これにより、運転中の感情的な行動が減り、安全性の向上に影響していますので、ナビ操作、メーター操作と合わせて運転システムに柔軟に対応できることが大切です。

2、人間性と日常乗務について

【非常に親切丁寧な面接】タクシー会社、採用に人間性が重視なワケ:人間性と日常乗務

タクシー運転手の日常管理は、乗客の安全や効率的な運行、法令の遵守を確保するために重要です。会社側は運転手の日常管理について次の4つの項目を厳重に取り組んでいます。(13時に営業所を出庫する勤務形態の一例)

(1)出庫までのルーチン

以下出庫までのルーチンは配属が決まった後に指導員から説明があり、最初は複雑でドタバタしますが、2-3回もすると慣れてきて自然とできるようになります。

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12時00分頃:出勤し制服に着替えます

会社によっては制服のまま出勤できるところもありますが、私は公私のメリハリをつけるために私服で出勤しロッカーで着替えるようにしていました。鍵付きの専用ロッカーがありますので私はYシャツは3枚掛けておき、乗務で着たYシャツは持ち帰り、制服は2週間に1度クリーニングに出していました。

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12時10分頃:アルコールチェック

運転免許証を機械に装着し息を吐き出しアルコール残存チェックをしますが基本的には残存ゼロでない限りその日の乗務はできません。目安は前日の12時間から15時間前に飲酒をしていなければ残存アルコールはゼロになりますので深酒をしない限り、13時から出庫の場合は前の夕食時の晩酌は気にしなくても大丈夫です。

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12時15分頃:乗務車両の確認と乗務員証の受け取り

自分の名札を赤色→黒色に裏返し(出勤している状態にします)、配車される車両は毎回変わりますのでその日の管理番号の棚から車両台帳+乗務員証+無線迎車のためのスマホを取り出し受け取ります。乗務員証と一緒に違反などした時、会社からの連絡事項がある場合はメモ用紙が付けられています。

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12時40分頃:乗務車両の点検

車両台帳に点検(車両外観、タイヤ、エンジンルーム、車内)項目が記載されていて、点検チェックと押印します。傷、へこみなど前乗務で起きて会社に報告していない場合もあり、自分がチェック不足で次乗務員が見つけた時は自分の原因になり、これから18時間ともにする車両なので念入りな確認を心がけます。

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13時00:点呼/出庫

フロアーに同時刻出庫する運転手全員が集まり、会社からの連絡事項、直近での交通事故など情報共有が終わると、免許証+アルコールチェックシート+配車台帳をスタッフに提出し、帰庫時に料金処理するための納金袋、免許証を受け取り実際に乗務開始になります。この点呼には4つの意味があります。

①同時刻に出庫する仲間との仲間意識、ライバル意識

②情報共有

③会社側管理者と運転手が実際に会うことで体調管理ができているかどうか

④ドライブチャートの確認

私が選んだ会社では”ドライブチャート”という過去の運転状況が自分のスマホで見ることができ、運転状況(超過速度、一旦停止、急加速、急停車、よそ見運転、車間距離など)が確認でき、自分の運転状況を確認できます。

(2)連続運転時間厳守と休憩

過労運転防止のためどんなに忙しくても連続運転は7時間を超えていけません。また最短休憩時間(2時間7分)を厳守しなければいけません。忙しかったり、暇だったりするとついつい超過したり休憩不足になったりしますので気をつけます。この休憩が少なく長時間運転をしていると知らないうちに疲労が加算され注意不足、怠惰な運転、ひどい時には寝落ちしてしまい大きな事故につながります。

(3)拘束時間とハンドル時間

出庫後は18時間、内約15時間はハンドル時間(休憩以外)として乗務しなければいけません。つまり好ましい休憩時間は3時間となります。ネットなどでは”自由に休憩したい時に休憩できる”ことになっていますが、少々意味合いが違います。たまに体調が悪い時などは休憩時間を長くしても問題はありませし、会社側もハンドル時間を長くするように!とは言えません。しかし常習的になると会社から指導があります。

(4)帰庫後の洗車と納金処理

13時に出庫すると翌朝7時までは乗務しその後帰庫し、アルコールチェック、洗車→納金作業(売上集計しスタッフに提出)に約1時間程度かかります。長時間乗務し、疲労が残る中最後まで決められたことをきちん行う自己管理意識が必要です。特に夏場、冬場の洗車は辛いものがあり有料で業者に依頼する人もいますが、私は約18時間無事に乗務できた感謝の意味を込めて自分で念入りに洗車していました。

以上4つの項目は決めれた業務フローにより自己管理で行うことばかりです。会社側は自己管理できちんとしてくれることを前提として業務管理しています。つまり人間性(当たり前のことを当たり前にできる)が最も大切なことの理由になります。

3、人間性と日々の積み重ね

(1) 交通ルールの遵守と安全教育

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点呼時に定期的に安全教育が行われ、運転手は交通ルールやマナーについての最新情報を学びます。例えば、信号無視や速度超過の防止、乗客への接遇マナー、実際に起きた事故状況、緊急時の対応方法などです。

【非常に親切丁寧な面接】タクシー会社、採用に人間性が重視なワケ:自己件数

引用元:タクシー運転手の現状とタクシーに関する事故データ

(2)運転技術、運転経路の向上

タクシー運転手は、常に運転技術や運転経路の向上が求められます。新しいルートの把握、渋滞を避けるためのルート選択、乗客の快適さを重視したスムーズな運転など、運転スキルの向上です。これらは乗務経験とともに日々少しづつ積み重ねていきます。

(3)乗客とのコミュニケーション

【非常に親切丁寧な面接】タクシー会社、採用に人間性が重視なワケ:乗車重視すること

運転手は親切丁寧な接客態度が求められます。言葉遣いや態度、迅速な対応などが重視され、お客様の要望に応じた柔軟な対応が必要です。これらもマニュアルにより最低限度の言葉使いが決められており、トラブル発生時には自分を守ってくれる強い盾になります。

引用元:タクシーサービスの改善による利用者利便の向上

例えば、行き先の確認、経路を間違った時、乗降時の対応、迎車時刻に遅れそうな時、泥酔し寝てしまった時の対応などお客様とトラブルになる原因はかなりあります。それらトラブルを避けるためにマニュアル通りのコミュニケーションを行います。

車内外のドライブレコーダーは乗務記録が保存され、何かトラブルがあった時は原因や自分を守るためのものですが、トラブルがないことが一番です。お客様に過剰に気を使う必要はなく最低限のマニュアルに沿ったコミュニケーションをします。試用期間から正式採用頃はまだ緊張感も強くトラブルは少ないのですが、半年くらいからマニュアル通りに進めなくなり、接客態度が悪い!とクレームを受けたり、違反や事故件数も増えてきます。このことからも自己管理ができる人間性が重要視される理由です。

4、人間性とスキル

(1)タクシー運転手に求められるスキル

最近でこそ”カスタマーハラスメント”という言葉が使われるようになりましたが、まだまだそうでないお客様も多いのが実情です。そんな時、どれだけ親切丁寧な接客ができるか?お客様と何かトラブルがあった時自分を守るためにマニュアルに沿ったコミュニケーションができるか?が求められるスキルです。

(2)長く楽しく続けられるスキル

売上を増加し給料を増やしたい!よりも心身ともに健康で長く楽しく続けられるスキルを身につけましょう。お客様対応でストレスを抱えないように、無理な長時間運転で身体を壊さない自己管理の習慣化のために、常に同僚や仲間達とのコミュニケーションでIN+OUTのドアを常に開けておきましょう。出庫前の10分、休憩中の10分、帰庫後の10分、勤務外の時間帯などがこのスキルアップを可能にしてくれます。

(3)売上増加を目指すためのスキル

乗務して半年くらいして、当たり前のことが当たり前のようにできていれば売上が60,000-80,000円(税込)/1乗務、程度になり給料は保証給と同じ400,000円程度になります。これで満足するか?更に上乗せしたいか?によって今後が大きく変わります。新しいエリアの開拓、時間帯によりエリアを変えてみる、手上げ↔︎無線の頻度を変えてみる、付け待ちの場所、時間帯を変えてみるなどいろいろ試してみるスキルです。

5、まとめ

車の運転は単なる移動手段や趣味ではなく、個々の人間性が反映する行動の一部とされているため、タクシー会社の面接では人間性を重要視します。

タクシー運転手は乗客の安全や効率的な運行、法令の遵守が重要、イレギュラーなことがあると必ず営業所に連絡し指示を受けなければいけないなど、大半は自己管理であり個人の人間性に大きく左右されます。

【非常に親切丁寧な面接】タクシー会社、採用に人間性が重視なワケ:アイキャッチ画像

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